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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生54巻12号

1990年12月発行

文献概要

特集 臨床疫学

疫学的方法による疾病解析—がん

著者: 田島和雄1

所属機関: 1愛知県がんセンター研究所疫学部

ページ範囲:P.820 - P.823

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■はじめに
 臨床医学の場に疫学的研究原理・方法論が応用され始めたのは1940年代頃からである.それは,診療の場においてもできるだけ科学的な観察方法を用いた患者資料の収集をし,さらにそれを客観的な情報として評価する方法を確立し,臨床医が日常の診療活動の中で陥りやすい誤判断をできるだけ避ける工夫をしてきたのである.そして,1960年代末頃には今日の臨床疫学,医療判断学の基礎的概念の骨格ができあがってきた.その背景には,疫学研究者による病院をフィールドとした病院疫学研究の出現もあった.つまり,疫学的視点から疾病の自然史をとらえていくため,病院における患者調査の必要性が重視されてきたのである.ここに臨床医学と疫学の接点があった.臨床医が疫学的感覚をもって注意深く症例を観察することにより,疫学的に重要な現象を洞察し得た事実は,過去のいくつかの事例が示している.こういった臨床疫学の歴史的な発展過程をかえりみながら,臨床における診断,治療,情報管理,予防などに関する問題について,がんの疫学研究の視点から言及してみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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