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エスキュレピウスの杖
(9)統一ドイツ・語学
著者: 麦谷眞里1
所属機関: 1WHO本部
ページ範囲:P.856 - P.857
文献購入ページに移動この原稿が活字になるころ,すでに東西両ドイツは,統一されていることと思う.そうすると,ベルリンの壁はどうなるのだろうか.1989年暮れに一部が壊されたことは,ニュースで知っていたが,全長165キロにもおよぶ壁がすぐになくなるとも思えない.統一されたドイツにとって,壁の撤去は,もっとも象徴的な行為だろうし,第一,ベルリン周辺の移動に物理的に不便を生じると思われる.すると,やはり壁は早晩取り払われるのだろうか.
実は,1990年7月から,チェックポイント・チャーリーでの外国人検問もなくなったと聞いて,東欧問題を若干なりとも担当している私としては,この目で検証すべく,9月の最初の週末を利用してベルリンに行ってみた.もちろん,ドイツが統一されるという10月3日以前のことである.ジュネーヴから約1,200km,朝7時に我が家を出て,途中,渋滞や東側の道路事情が悪いための徐行,そして給油のための小休止はあったものの,夕方7時にはベルリンに到着した.東ドイツ領内から西ベルリンに入るとき,すでに検問はなかった.ただ,ベルリンの中の移動では,まだ半信半疑だった.西ベルリンに入るや否やブランデンブルグ門に直行してみた.門は,改装中のため建材で覆われており,夕方で薄暗かったせいか,右側後方の壁の連なりか見えて,何だ,まだ壁はあるじゃないか,とがっかりした.
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