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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生54巻5号

1990年05月発行

文献概要

発言あり

花と緑—菊と皐月,他

著者: 田島達郎12

所属機関: 1(財)岩手県予防医学協会 2岩手県民保健センター

ページ範囲:P.289 - P.291

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 約25年ほど前の話である.当時,病院の小さい公舎に住んでいた.玄関の前に一坪くらいの,それこそ猫の額ほどの空地があった.家内の伯父から結婚祝いということでバラの苗木が送られてきたので,そこに数本植えた.よくできたもので,本にある通りにやったら,活着し,翌年花を付けた.素人の浅はかさ,立派に咲いたと思ってバラ展に赴き,入会手続きを済ませ,切り花一輪を出品した.驚いたことに,それが新人賞に入賞したという知らせを受けた.恐らくその年の入会者すなわち新人は,私のみであったのであろう.
 留守の時,会の人が賞状を拙宅に届けにきた.受け取った家内にどこにバラを植えているのですかと尋ねた.そこですと猫の額を指差したら,憐れむような眼差しで溜め息を吐いて退散したという.それを聞いて私の若い血が騒ぎ出した.猫の額でどこが悪い,日当たりのよい肥沃な広い庭があれば,より立派なバラは馬鹿でもできる,ヤーメタとバラ会を脱会したのは当然である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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