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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生54巻6号

1990年06月発行

文献概要

総説

欧米における移住者結核問題とその対応(1)

著者: 清田明宏1

所属機関: 1結核研究所国際協力部

ページ範囲:P.401 - P.405

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◆はじめに
 日本が世界有数の先進経済国になった現在,発展途上国からの入国者数は年々増加している.その社会的背景,入国の目的は様々であるが,特にアジア諸国から就労・就学を目的にした移住者数の増加は著しい.例えば日本語学校等の就学生の新規入国者数は,1988年に35,107人と前年に比べて2.5倍と増加し1,2),また本来就労が禁止されている観光ビザ等で入国し,その後就労するいわゆる「不法就労者」数も増加し,1988年には14,314人が摘発され,前年度より約3千人増加している3).このような発展途上国からの移住者の増加に伴い,様々な社会問題が起こってきている.結核もその例外ではない.もともと彼らの母国である発展途上国は結核の高蔓延国であることが多く,入国後に結核が発見される例が増えている.そしてまた,結核と診断され治療が開始された後,治療からの脱落や,医療費等の支払いの困難な例等,様々な問題が生じ対策に苦慮する場合がある.結核患者の絶対数でみれば,日本人の結核患者数と比べて決して多いとは思われないが,発展途上国からの移住者は結核の高危険群であり,治療に際し様々な障害を伴う例があることより,様々な段階での,的確な対策の樹立が求められている.その際,結核の低蔓延国である欧米先進諸国での移住者に対する結核対策,および欧米で観察された移住者間の結核の特徴を知ることは,今後の対策検討の際に参考になると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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