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報告
医師過剰問題について
著者: 有賀徹1
所属機関: 1日本大学医学部
ページ範囲:P.501 - P.506
文献購入ページに移動わが国では昭和36年の国民皆保険制度が確立されてから医療需要は急激に増大した.これをうけて厚生省では医療制度全般についての討議が行われ,昭和45年に「医師数は人口10万対150を目標とし,これを満たすためには医科大学の定員を1,700人ほど増加させる必要がある」とした2).医師数は医師の供給,すなわち医科大学の定員によって左右されることは当然である.昭和30年当時の医科大学は46校,定員数は2,820名であったが,国のこのような医師の養成需要に応えるかのように,昭和45年に戦後初めて医科大学が新設された.その後医科大学の新設が続き,昭和48年には各県1医大すなわち「無医大県解消構想」が提案され,全国の医科大学は80校を数え,定員も8,360名となった.このように医科大学は乱立ともいえるように増大したが,その内訳は国立大学43校,公立大学8校,私立大学29校となっている.これら設立主体の異なる大学の存在は1県1医大構想から離れた問題もあり,このへんにも医師過剰の生ずる理由があるものと考えられる.また,わが国の医科大学には自治,防衛,産業など特殊な医科大学があることも特徴であろう.
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