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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生54巻7号

1990年07月発行

文献概要

報告

医師過剰問題について

著者: 有賀徹1

所属機関: 1日本大学医学部

ページ範囲:P.501 - P.506

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 WHOではすでに1948年以来ヘルスマンパワーの検討を行ってきているが1),職種の中で最も重要なことは医師の養成と将来予測であるとしている.
 わが国では昭和36年の国民皆保険制度が確立されてから医療需要は急激に増大した.これをうけて厚生省では医療制度全般についての討議が行われ,昭和45年に「医師数は人口10万対150を目標とし,これを満たすためには医科大学の定員を1,700人ほど増加させる必要がある」とした2).医師数は医師の供給,すなわち医科大学の定員によって左右されることは当然である.昭和30年当時の医科大学は46校,定員数は2,820名であったが,国のこのような医師の養成需要に応えるかのように,昭和45年に戦後初めて医科大学が新設された.その後医科大学の新設が続き,昭和48年には各県1医大すなわち「無医大県解消構想」が提案され,全国の医科大学は80校を数え,定員も8,360名となった.このように医科大学は乱立ともいえるように増大したが,その内訳は国立大学43校,公立大学8校,私立大学29校となっている.これら設立主体の異なる大学の存在は1県1医大構想から離れた問題もあり,このへんにも医師過剰の生ずる理由があるものと考えられる.また,わが国の医科大学には自治,防衛,産業など特殊な医科大学があることも特徴であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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