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現代の環境問題・10
食品汚染—細菌性食中毒
著者: 宇田川俊一1
所属機関: 1国立衛生試験所衛生微生物部
ページ範囲:P.31 - P.34
文献購入ページに移動厚生省統計資料による平成元年(1989)の食中毒発生状況は,事件数927,患者数36,479,死者数10であり,罹患率は29.6/10万人,事件数は4年ぶりに増加し,食中毒の大型化傾向が続いている.これらの数字を過去10年間(1980〜1989年)の推移と比較してみると表1のようにほとんど変化が認められず,食中毒の研究が進み食中毒事件のあらかたの原因が判明するまでに至ったにもかかわらず,食中毒はまったく減少していないといってよい.さらに平成元年の食中毒を月別発生状況でみると,表2のように例年と同様に7月から9月にかけて全体の58%の件数となり夏季に多発しているが,サルモネラ菌(Salmonella choleraesuis,血清型はS. typhimurium,S. enteritidis,S. litcfield,S. braenderup,S. infantis,S. thompsonなど)および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)による食中毒は年間を通じて発生している.
病因物質の判明したものは事件数で84.7%,患者数で89.5%に達している.
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