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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生55巻1号

1991年01月発行

文献概要

目でみる保健衛生データ

赤痢

著者: 工藤泰雄1

所属機関: 1東京都立衛生研究所微生物部

ページ範囲:P.48 - P.49

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 周知のように,法定伝染病である赤痢(アメーバ赤痢を含む)は,現在も世界的に発生頻度が高く,公衆衛生上依然無視できない疾病の一つである.ここではこの赤痢のなかで,その主体を占める細菌性赤痢に焦点を当て,わが国における最近の動向を概略紹介する.
 図1に,厚生省伝染病統計に基づく1961年以降1988年までのわが国における赤痢の発生状況を示す.本症は,本邦においてもかつては下痢性疾患の一つとして極めて重要な位置を占め,戦前そして戦後も1950年代終わりごろまでは,全国的に水系流行をはじめとする集団発生が多発し,その患者数も毎年数万人にも及ぶ状況にあった.しかし,図からも明らかなように,1960年代に入って患者数は徐々に減少しはじめ,1970年半ばには1,000名前後を数えるまでに至った.これは,主に近年におけるわが国の上・下水道の整備など衛生環境の改善,抗生物質など治療薬の開発・普及などによるものであり,この事情は近年急減をみた腸チフスの場合と同様であるといえる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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