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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生55巻1号

1991年01月発行

文献概要

保健婦活動—こころに残るこの1例

当事者ぬきの支援計画の空回りで学んだこと

著者: 中島歌与子1

所属機関: 1佐賀県佐賀保健所

ページ範囲:P.52 - P.52

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 現在Aさんは69歳.家族は夫と子供が4人いるが,子供はそれぞれ独立.子供と父親との関係は良くないが,夫婦の仲は良い.昭和43年,Aさんは幻聴や妄想等の症状を呈し,精神分裂病の診断を受ける.本人に病識が全くないため,病院を退院すると拒薬・受診拒否となり,病状悪化で入退院を繰り返している.63年,心不全で内科に入院.命の保証はできないといわれる.
 前任者からAさんを引き継いだのは,Aさんの夫が1カ月前に軽い脳梗塞で入院(Aさんと同じ病院の内科)し,近くに住む次女がAさんの面倒をみている頃であった.ある日次女から次のような内容の電話があった.「父は現在入院中であるが,父が退院してきても母と一緒に面倒をみることはできない.これまで父には何一つしてもらっていないし,苦労ばかりさせられた.どこか2人一緒に入院できるところを紹介して欲しいと市役所の福祉事務所に相談に行ったが,3年は待たなければならないと言われた.2人一緒に入院させられないなら父だけでも入院させたい.どうしても父の面倒はみたくない.何とか助けてください」泣きつくように頼む次女は精神的にも不安定になっており,一方的に話された.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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