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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生55巻11号

1991年11月発行

雑誌目次

特集 健康まつり—創意と工夫のイベント

健康まつりの意義

著者: 若月俊一

ページ範囲:P.752 - P.755

■健康まつりと地域住民
 最近「健康まつり」や「病院祭」が流行してきたようである.これは,保健教育を地域に発展させるために大変好いことではあるまいか.

ヘルスプロモーションと健康まつり

著者: 新井宏朋 ,   岩崎清

ページ範囲:P.756 - P.759

■はじめに
 「ヘルスプロモーションと健康まつり」というテーマをいただいたが,今日的な表現で言えば,「ヘルスプロモーションのイベント作り」とした方が良いように思う.この原稿を書いている8月は,東北地方の夏まつりシーズンである.青森のねぶた,秋田のかんとう(竿灯),仙台の七夕と,この1週間の間に東北の著明なまつりが目白押しにならんでいる.山形の花笠まつりも大分有名になってきた.約1万人の踊り手が花笠を手に「ヤッショ,マカショ」の掛け声に合わせて山形市のメーンストリートを踊ってゆく.山形大学医学部のチームも毎年参加しているし,昭和59年の山形県地域成人病総合対策開発事業には「健康を築く花笠踊り実践活動」が取り上げられていた.山形保健所の踊り手チームが,まつりの参加団体に成人病予防の実践活動を呼び掛けたり,踊りながら成人病予防のパンフレットを観客に配って歩いた.東北地方の夏まつりは,農民の生活観や生活形態に根ざした宗教的行事から始まったものであろうが,今日では全国から大量の観光客を集めるビッグイベントに変身している.

健康づくりに政治生命をかけた町づくり

著者: 森岡行直

ページ範囲:P.760 - P.764

■わが町の歴史
 弥栄町は,京都府庁から北へ150キロ,日本海に突出した丹後半島の中央部に位置し(図1),人口約6,500人,鉄道も国道ももちろん空港もない,「ないないサミット」で知られる町である.町の中央部を南北に縦断する竹野川の流域丘陵地には,弥生時代以降からの住居跡など埋蔵文化財が点在し,古くから私たちの先祖が生活していたことがうかがえ,古墳時代には全長105mの巨大な銚子山古墳など数多くの古墳が築造され,大和朝廷に関係のある大部族が住んでいたことが推測されている.また天平年間には,木町の鳥取郷から絁(あしぎぬ)が,芋野郷から赤米が献上され,天平文化を衣食の面からガッチリと支えていたことが実証されている.この記録からも本町は,古くから今の二大産業である機業と農業が栄えていたのである.加えて昨年は,目下進行中の国営農地開発事業の関連で古墳の発掘調査が行われた結果,5世紀前期のものといわれる日本最古の製鉄コンビナートの遺構が出土し,一躍注目を浴びることとなった.このように数多くの埋蔵文化財は,今後の調査を待って新たな歴史が実証されることにより,丹後王国論もあながち夢物語ではないと思っているところである.

健康まつり実践のノウハウ

著者: 大江浩 ,   鏡森定信

ページ範囲:P.765 - P.768

■はじめに
 近年,公衆衛生分野においてもイベントが幅広く行われるようになった.イベントは,主催者側が理念に基づいて企画・立案し,参加者がそのテーマに共感できることが大切であるが,規模,形式,内容,主催・参加者などの面で様々なものが行われている.健康まつりは,参加者それぞれが本人,家族,そして地域の「健康」を再認識し,健康づくり活動の実践を目標とする健康教育・学習の重要な機会であり,またその手段でもある.健康づくりに地域住民の主体的参加がますます必要になっている今日,その果たす役割は決して小さくはない.
 健康まつりの形式としては,県や広域ブロック単位で健康に関するシンポジウムやフォーラムとして,専門家が中心になって開催されるものも多いが,ここでは,市町村単位で行われる住民主体の健康まつりを取り上げ,実践例を検討しながら,そのノウハウについて述べる.

健康まつりの実践—ウエルネス宣言都市・都城市

著者: 西河邦博

ページ範囲:P.769 - P.772

■市の概要
 都城市は,宮崎県の南西部,都城盆地のほぼ中央に位置し,東に鰐塚山系,北西に高千穂峰を仰ぎ,三方を山に囲まれて,広大な盆地を形成し,南は大きく開け,志布志湾に達している.交通は,南九州の要衝として,九州縦貫自動車道宮崎線をはじめ国道,主要地方道が縦横に延び,宮崎・鹿児島の両空港へは50kmと恵まれた環境にある.気候は,山系を周囲にめぐらした標高平均155mの平地であるため,夏冬・昼夜の気温差が著しく,四季を通じて風力は一般に弱い.雨量は年間約2,600mmで,その約70%は5月から9月に集中している.この降水は,盆地内の田畑を潤し,また地下に浸透して貴重な水資源となっている.
 本市の面積は,306.7km2で,宮崎県総面積7,734.72km2の4%を占めており,人口は平成3年4月1日現在,131,334人,うち65歳以上人口は14.9%を占め,すでに高齢社会となっている.また全死亡率を主要死因別に見ると,3大成人病といわれる「悪性新生物」,「心疾患」,「脳血管疾患」の合計が64%を占め,いずれも全国平均を上回っていることから,高齢社会を展望する中で疾病予防,健康増進対策が重要な課題となっている.

健康まつりの実践—南宇和健康まつりとその波及効果

著者: 冨田直明

ページ範囲:P.773 - P.776

■はじめに
 南宇和健康まつりは,保健行政関係者(町村,保健所)と地元の団体が一体となって,健康づくり等に関する各種コーナーを設置し,地域住民に気軽に参加してもらい,日頃から自らの健康管理に関心を持つことの重要性を知ってもらうとともに,保健行政関係者が健康管理のあり方の再認識,地元の機関や民間団体との健康に対する連携の場として,昭和60年度から実施している.

健康まつりの実践—汗して学ぶ手づくりまつり・西土佐村

著者: 中平貞行

ページ範囲:P.777 - P.781

■西土佐村の概要
 高知県・西土佐村.愛媛県と隣接する山間農村地域である(図1).人口は4,200人,1,400戸が営みをしている.248km2の広大な面積のうち92%が山林で,四万十川が村を縦貫している.四万十川とそれに注ぎ込む6本の支流に沿って住家が点在し,集落は31にも散在している.
 河川に沿った生活道は,周回道路がなく,曲がりくねった山道の出入りを繰り返し,保健センターのある村の中心地からは,最も遠い集落まで40kmもある.

健康まつりの実践—東京都八王子保健所の「あなたの栄養展」—「耕し育てる健康の輪」

著者: 鈴木壽子 ,   青木久枝 ,   高橋たか子

ページ範囲:P.782 - P.786

■はじめに
 豊富な食品とりわけ加工食品の氾濫,外食依存の増加,成人病と食生活の問題など,高齢型社会に向かって,健康な老年期を過ごすために,これらの問題の解決と,各年代ごとの健康維持・増進等,栄養改善の重要性が再認識されてきている.
 こうした中で今年で第15回を迎える八王子保健所(以下「保健所」という)の「栄養展」は,食生活の見直しと健康づくりのための正しい栄養知識の普及・啓発を行い,住民の食生活に対する意識の高揚と動機づけに役立つイベントとして企画されてきた.
 特に,地区組織などの主体的,積極的参加を得るとともに,創意と工夫により楽しむ健康学習の場となるよう心がけている.

健康まつりの効果と課題

著者: 松浦尊麿

ページ範囲:P.787 - P.789

■はじめに
 昔は病気でなければ健康であると考えられていた.したがって病気の治療が健康対策だったわけである.そこに伝染病対策として「予防」という概念が取り入れられ,それが近年の「成人病予防」まで拡大され,さらに今日では予防するだけでなく,健康度を高めようという試みが広がってきている.行政的には,昭和53年に国から「市町村保健センター」設置等,保健サービスの市町村移管が打ち出されたのに相まって,地方自治体による住民の「健康づくり」事業が活発化していった.広く住民の参加も得て,ということで「健康づくり推進協議会」も各市町村ごとに設置されていった.昭和58年からは「健康な町づくり」事業としてヘルスパイオニアタウン事業が推進され,保健事業に意欲的な町や村ではこの補助金をもとに,住民の健康づくり事業の推進が図られている.
 その中心的な事業が保健データのコンピュータによるバンク事業であり,町や村をあげての「健康まつり」の開催である.

地域リハビリテーションと機能訓練事業 パネルディスカッション:地域リハビリテーションとネットワークづくり・2

私のネットワークづくり・1

著者: 長谷川幹 ,   大川嘉子

ページ範囲:P.790 - P.795

 浜村(座長) 「地域で具体的に活動を進めるに当たっては,様々な問題を抱えながらネットワークを作っていかねばならない現実があります.そのような場合にはえてして,先に牛津先生からお聞きしたようないろいろな考え方や理念を忘れがちです.そこで,このパネルディスカッションでは,それぞれの先生方の地域活動の個人史を踏まえて,どのようにネットワークづくりを進めてこられたかを実践者の立場からおうかがいしたいと思います」.
 「最初は長谷川幹さんです.長谷川さんは東京の日産玉川病院リハビリテーション科の医長で,大都市の住宅街である世田谷区の地域の老人を対象にしたネットワークづくりを進めておられます.大都会の難しさがあろうと思いますが,その中で地域の保健婦とともに地道な活動を進めておられます.

現代の環境問題・20

環境汚染—微量金属による環境汚染

著者: 能村京子 ,   宮崎元一

ページ範囲:P.796 - P.799

1.はじめに
 微量金属trace metalとは,生体や環境中にごくわずかしか存在しない金属のことをいい(表1),多くの無機元素がこの範疇に含まれる.しかし,人体影響の観点から重要であり,環境中への放出が問題となるのは,一般に「有害金属」と称される金属(類金属metalloidを含む)である.
 有害金属の中には生体にとって栄養上不可欠で,生体内で恒常機構が発現する,いわゆる必須金属essential metalも一部含まれているが,これは微量金属が生体に対する強い生理活性を持ち,必須金属といえども必要量を超えて多量に生体内に摂取されると著しい毒性を示すためである.
 本稿では,まず金属の毒性発現の特徴について簡単に示した後,過去において人体に対する汚染例が明らかとなったいくつかの微量金属について,その具体的事例と,人体影響を中心に述べる(表2).

調査報告

胃X線検診時の胃皺襞幅に関する疫学的検討

著者: 若林一郎 ,   増井秀久 ,   吉本佐雅子 ,   阪本州弘 ,   垣下榮三

ページ範囲:P.811 - P.813

●はじめに
 胃皺襞の肥厚は胃の炎症性,腫瘍性病変,感染症やメネトリエ病等の際に出現するが,特定の疾患で出現するものではなく,健常人でもみられる.今回,成人病検診時の胃直接X線造影写真上の胃皺襞の幅と消化性潰瘍との関係,および胃皺襞幅に影響を与える他の因子について検討した.

報告

栃木県における脳卒中対策の評価

著者: 遠藤昌一 ,   高橋司 ,   篠沢倶子 ,   小林雅興 ,   塚原太郎 ,   岩崎弘子 ,   柳川洋 ,   坂田清美 ,   森沢康 ,   宇佐見隆広 ,   川又けい子

ページ範囲:P.815 - P.820

●はじめに
 栃木県の脳卒中死亡は全国一高い部類に入る.その栃木県でも脳卒中は着実に減少している.過去には東北各県に脳卒中が多かったのは周知の事実であるが,東北各県は早くから問題の重要性を認識し,その対策に努力を尽くしてきたため,その効果が現れ,栃木県を追い越していったものと考えられる.
 そこで栃木県で行われている脳卒中対策を,保健学上の見地から組織的に分析検討,評価し,より効果的で効率的な対策の方向を探った.

離島診療所における小動物刺咬症例の臨床的検討

著者: 水関清

ページ範囲:P.821 - P.825

●はじめに
 一般に,国民健康保険直営診療所は都市から離れた地域に設置されており,都市部の医療機関では経験することの少ない症例に遭遇することが比較的多い.野生の昆虫・節足動物やペット用小動物等に,刺されたり咬まれたりすることによって生ずる各種症状(以下,小動物刺咬症)を主訴として受診する患者は,その代表的なものと思われる.そうした症例のなかには,稀ではあるがアナフィラキシー・ショック等を起こして重篤な経過をとるものもあり1,2),小動物刺咬症例に対し適切な初期治療を施すことは,国民健康保険直営診療所の重要な任務のひとつである.
 四国南西部の離島に設置されている宇和島市国民健康保険九島診療所(以下,診療所)において,1986年7月からの4年間に筆者は105例の小動物刺咬症例を経験しえたので,若干の文献的考察を加えて報告する.

保健所機能の新たな展開—飛躍する保健所

愛媛県御荘保健所の活動を通して

著者: 櫃本真一

ページ範囲:P.800 - P.802

 平成3年1月,この原稿依頼を受けた.御荘保健所での活動をそのまま紹介すれば良いだろうと気軽に引き受けたところ,4月から伊予保健所勤務となり,自分自身を取り巻く状況が一変し,多少戸惑っているのが正直なところである.しかしこの際,伊予保健所で心機一転始動した今,保健所が飛躍するための普遍的な条件を導くために,御荘での活動を振り返ってみることにした.

目でみる保健衛生データ

性病

著者: 山井志朗

ページ範囲:P.803 - P.805

 従来,性病予防法第5条により梅毒,淋病,軟性下疳,そけいリンパ肉芽腫の4疾病が狭義の性病として指定されていた.しかし近年の社会風俗の変遷,性意識の変化と多様化などに伴い,性的関係により感染する病原体の範囲も細菌,ウイルス,クラミジアにとどまらずマイコプラズマ,真菌,原虫等にまで広がり(表),旧来の定義では把握しきれなくなった.そこで新しい定義として世界的にSTD(Sexually Transmitted Diseases,性感染症)と呼称され,広義にとらえられるようになった.わが国も遅ればせながら,これらの性感染症について疫学,治療,診断などにわたり広く知見を集めて討議すべく,日本性感染症学会が1988年に発足した.
 厚生省の結核・感染症サーベイランス事業が1981年に発足し,のち1987年に性感染症のなかで淋病,陰部クラミジア,陰部ヘルペス,尖圭コンジローム,トリコモナス症が対象疾病として加えられた.そこでこの稿では,“伝染病統計”から主な性感染症の動向と,1987年より開始された結核・感染症サーベイランスの報告などから主な疾病について,その推移を述べてみたい.

エスキュレピウスの杖

(20)国際情勢の中で

著者: 麦谷眞里

ページ範囲:P.806 - P.807

1.ソ連のクーデター
 8月19日(月)の朝は,ちょうど車の定期点検で,出勤前にオート・プログレスなるガレージ屋に車を預けに行くところだった.カーラジオでBBCニュースを聞いていたら,ソ連のゴルバチョフ大統領が健康上の理由で職務を遂行できない,というニュースが流れた.もちろん額面通りには受け取れない.ソ連で何かが起こった,とは思ったが,しばらくは,第2報を待つしかない.私自身の仕事のことで,まず,最初に頭に浮かんだのは,チェルノビル事故対策のことである.日本の任意拠出金で実施されているので,自動的に私の担当になっている.チェルノビル原発の被害は,複数の共和国にまたがっていて,連邦政権と無関係ではいられない.昼ごろ,外務省から出向されている佐藤特別顧問と昼食をとって帰ってきたら,私の秘書が,どうもクーデターらしい,というニュースを告げた.さすがに,ソ連国籍の職員達は落ち着かない様子だった.

保健婦活動—こころに残るこの1例

「聴く」ことの意味

著者: 林公子

ページ範囲:P.808 - P.808

1.Ⅰさん,その出会いのプロローグ
 7年前,初めて保健婦として今の職場に赴任してきた時,1枚の古いビジブルが目に止まった.昭和51年より,肺結核(rI2型)にて命令入所の単身者Iさんである.「身寄りのないかわいそうな人.一生涯入院生活を送るのだろうか」が,この時の私の印象だった.そのIさんが3年前,12年間の入院生活を終え,退院した.
 山間僻地にある4畳一間の小さな家はトイレ,風呂がないうえ,水道まで家の外.とても人が住めるような環境ではなかった.食生活も貧相で,みつばのカレー,みつばのみそ汁,ごはんに塩をかけて食べる時もあった.そのうえ長期入院,兄弟との絶縁からか,人を信じられなくなっていた.

人の温かさを求めて

著者: 日野出悦子

ページ範囲:P.809 - P.809

 私がK氏と初めて出会ったのは,梅雨の季節で家の前にはあじさいの花が庭一ぱいに咲いていた.K氏(79歳)は脳動脈硬化性痴呆,パーキンソン氏病である.妻と二人暮らし.10歳代より大工として働き,真面目で几帳面な性格であった.そのためか仕事も多く,病気になるまで外に出て働いていた.75歳頃より家から一歩外に出ると帰ることが出来ず,近所をウロウロして回ったり,自分の便を「猫にやる」と言い,紙に大事そうに包んだりと,妻の目が離されない状態となった.
 K氏には4人の子供がおり,長男夫婦が同じ町内に住んでいるため2〜3日ごとに食事や入浴等を手助けしていた.娘2人は他県に嫁いでいる.妻は昼間は他人の畑仕事の日雇いに出かける.そのためK氏は午前中はほとんど寝ており,妻が帰る昼近くになり起き出す.そして家中の引き出しの中を出してしまったり,外に出たりなどの行動が目立ってくる.私が訪問した日は,陽当たりの良い縁側に出て庭の花を見たり外で体操をしたりしていた.近くに住む民生委員さんもK氏のことを知り,早速話し相手にと訪問してくださるようになった.そして変わったことがあると電話で教えてくれた.

発言あり

看護婦・看護士

著者: 糸川嘉則 ,   門脇豊子 ,   山本俊一

ページ範囲:P.749 - P.751

「転換期に立つ看護医療」
 本年度の4月の医学会総会は,「転換期に立つ医学と医療」というメインテーマを掲げて開催されたが,看護医療にとっても現在は大きな転換期にあると思われる.転換期というのは,現状のまま何もせずに放置しておいては破綻を来すおそれもあるという意味が含まれている.看護は医療の最も大きな柱のひとつであり,これに破綻がくるということは大問題である.どのような問題点があるのか私見を述べることにしたい.
 第一に,看護婦の数が不足しているという問題が提起されている.しかし,人口当たりのわが国の看護職員数は,アメリカ合衆国には及ぼないが,ドイツ連邦,デンマーク,イギリスよりは多いのである.一方,病院病床数がわが国では多いという現状があるが,これも看護職員一人当たりの病床数でみるとドイツ,イギリスのほうが多くなる.看護婦数を増やす努力は続けなければならないが,数を増やすことはかなり困難であると考えられる.看護婦の数を増やすだけではなく,看護制度や看護婦の周辺に存在する諸問題を改革する必要があると思われる.

保健行政スコープ

地域保健医療計画の作成について

著者: 原徳寿

ページ範囲:P.826 - P.827

 医療法に基づく医療計画については,平成元年3月までにすべての都道府県で作成されたところである.地域保健医療計画は,二次医療圏ごとに具体的な対策を定め,これを推進することによって,作成された医療計画を着実に達成することを目的としている.平成2年11月には,地域保健医療計画作成事務の便宜に供するため,全国に共通と考えられる事項について,「地域保健医療計画作成の手引き」として通知された.
 後にも述べるが,地域保健医療計画は医療法に基づく医療計画の一部として作成されるものであるので,その作成に当たっては,医療法関係法令を始め,昭和61年8月30日健政発第563号,厚生省健康政策局長通知「医療計画について」等の関係通知に基づいて作成されるものである.特に,同通知の別紙「医療計画作成指針」(以下「ガイドライン」という)は,医療法第30条の4に基づき医療計画作成の手法,その他医療計画の作成上重要な技術的事項について示されており,その趣旨を踏まえ計画の作成に当たっていただきたい.今回示した「地域保健医療計画作成の手引き」(以下「手引き」という)は,地域保健医療計画を作成するに当たっての,このガイドラインの解説版の役割を持っていると考えている.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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