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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生55巻11号

1991年11月発行

保健婦活動—こころに残るこの1例

「聴く」ことの意味

著者: 林公子1

所属機関: 1香川県観音寺保健所

ページ範囲:P.808 - P.808

文献概要

1.Ⅰさん,その出会いのプロローグ
 7年前,初めて保健婦として今の職場に赴任してきた時,1枚の古いビジブルが目に止まった.昭和51年より,肺結核(rI2型)にて命令入所の単身者Iさんである.「身寄りのないかわいそうな人.一生涯入院生活を送るのだろうか」が,この時の私の印象だった.そのIさんが3年前,12年間の入院生活を終え,退院した.
 山間僻地にある4畳一間の小さな家はトイレ,風呂がないうえ,水道まで家の外.とても人が住めるような環境ではなかった.食生活も貧相で,みつばのカレー,みつばのみそ汁,ごはんに塩をかけて食べる時もあった.そのうえ長期入院,兄弟との絶縁からか,人を信じられなくなっていた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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