文献詳細
文献概要
研究ノート
肺機能障害者の生活実態調査
著者: 石井英子12 笹野英子2
所属機関: 1名古屋市教育委員会 2名古屋市千種保健所
ページ範囲:P.112 - P.115
文献購入ページに移動近年,わが国では結核およびその他の感染症で死亡する人々は,医学の進歩と栄養状態の改善等により激減してきた.一方,結核は治ったが,結核の後遺症として肺機能障害を残しながら,現在日常生活活動を著しく制限される状況にある人が増えてきた.昭和20年,30年代に発病し,慢性化した結核患者は,硬化性病変・胸郭手術による変形等からくる息切れ,咳などの呼吸器症状で苦しみながら療養につとめている.これら肺機能障害を持つ人々は,風邪,疲れをきっかけとして,呼吸不全を起こし,急性増悪期には入院治療を必要とし,短期間に入院の繰り返しを余儀なくされている.
千種保健所では,昭和52年に結核既往のある人が呼吸不全を起こし,緊急入院をして一命をとりとめた事例や,急性増悪に陥り手遅れになり死亡した事例1)を把握したことを契機に,肺結核後遺症による慢性呼吸不全者(以下「肺機能障害者」という)の実態把握2)に努めた.その結果,昭和55年から結核の後遺症を持つと思われる人々を対象に,呼吸不全予防を目的に呼吸器教室を開催し,現在も継続して実施している3).
掲載誌情報