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報告
日常生活におけるホルムアルデヒド暴露
著者: 土井まつ子1 石黒彩子1 伊藤泉1 鳥居新平1 柴田英治2
所属機関: 1名古屋大学医療技術短期大学部 2名古屋大学医学部衛生学教室
ページ範囲:P.208 - P.212
文献購入ページに移動ホルムアルデヒドの人体に及ぼす影響は,初期には,職業上の暴露による急性中毒が問題とされた.近年では生活環境下において,ホルムアルデヒドを発生する接着剤や樹脂を使用した合板,塗料,繊維製品,化学製品等の普及とともに家屋構造の変化による気密性の高い住空間における生活様式が増加し,日常生活での暴露が問題となってきている.
米国では1980年,CIIT(Chemical Industry Institute of Toxicology)の動物実験により発癌性が報告され1),以来空気中のホルムアルデヒドの規制対策が検討されている.西ドイツ,オランダ,デンマーク,スウェーデンではすでに室内のホルムアルデヒド濃度の許容基準が制定されている.わが国においては労働環境下における暴露が問題とされ,工場との敷地境界線における基準値が一部の地域において定められている.しかし,居住環境における暴露に関しては,法的規制はなされておらず,また暴露の実態に関する報告も少ない.そこで,我々は今回,一般家庭の住環境におけるホルムアルデヒド濃度,個人暴露量の実態,および住居条件との関連について,フィルターバッチを用いて調査した.
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