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文献概要
現代の環境問題・13
食品汚染—飼料添加物と動物用医薬品
著者: 中澤裕之1
所属機関: 1国立公衆衛生院衛生薬学部
ページ範囲:P.270 - P.274
文献購入ページに移動休日の食事時ともなると,どこのファミリーレストランも順番待ちの列が見られ,外食産業の盛況さが目につく.そのメニューもハンバーグ,ステーキ,焼肉などの肉製品が好まれるように,日本人の食生活は,生活スタイルの欧米化と相まって乳肉製品の需要量が年々増加し,その増産が要求されている.その結果,図のブロイラーに代表されるように,多頭集団飼育や密飼いを伴う大規模経営に移行している1).豚,乳牛,肉用牛,ブロイラーなどの飼育形態も同様の傾向である.
畜水産経営におけるこのような生産性の向上を目的とした密飼いでは,ひとたび感染症が発生すれば直ちに蔓延し,その被害も甚大である.被害防止対策の一つとして,消毒,ワクチンの使用のほかに,予防や治療および飼料の品質の安全性確保等を目的として飼料に添加される「飼料添加物」と獣医師の処方または指示により使用される「動物用医薬品」などの薬剤による方策がある.
わが国における現代の畜産業は家畜の品種改良,飼育技術や飼料の質的な向上に加えてこのような飼料添加物,動物用医薬品の利用も大きく貢献していると言えよう.
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