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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生55巻6号

1991年06月発行

雑誌目次

特集 トータルヘルスプロモーションの実践

トータルヘルス・プロモーションプランと労働衛生

著者: 草刈隆

ページ範囲:P.368 - P.372

◆はじめに
 労働衛生行政(Labour Hygiene Administration)あるいは産業保健活動(Industrial Health Activity)の対象は,雇用されて働く人々である.たとえ経営者や主婦等は適用の範囲としては除かれるにしても,働く人々の健康を守るという理念,当世流行の言葉ならコンセプトは共通している.しかし「雇用されて働く人々」=労働者は雇用という環境にあるからこそことさらな配慮が必要で,わが国ではそれを労働省が所管している.
 対象人口の年齢は15歳より64歳に至るまでの人生80年のうち,個々の人にとって生物としての機能,社会活動,経済活動等の最も活発な50年である.また,退職後の約10年から20年に及ぶ“もう一つの人生”が,健やかなものになり得るか,生きがい,張り合いのある日々を過ごせるか否かに,大きな影響を及ぼすのが15歳から64歳までの50年であることに疑う余地は無い.
 言い換えるなら,退職時期の心身の機能を含めた職業能力,社会生活能力がいかように保持されているかが,それ以後の人生の有りようの鍵である.

健康増進活動の意義と役割

著者: 青山英康 ,   甲田茂樹 ,   津田敏秀

ページ範囲:P.373 - P.376

◆はじめに
 平成元年は単に年号が変わっただけではなく,「健康・体力づくり」に対する行政の対応が大きく転換した年でもあった.
 東京オリンピックを契機として,「体力づくり国民運動」の展開が閣議決定された時には,これを所管する省庁も少なく総務庁(当時の総理府)が主管することになった.この頃と現状とを比較すれば,まさに隔世の感がある.今日では「健康・体力づくり」に対して,なんらの取り組みも行っていない省庁を探し出すのに困難を覚えるといった状況である.
 国際的に他に例を見ない,急速な高齢化社会を迎えているわが国の現状を先取りするように,すでに昭和47年(1972)には労働省が,労働安全衛生法の施行に際して,就業人口の高齢化と定年延長に備えて「中高年齢者への特別な配慮」一「シルバー・ヘルス・プラン」(SHP)への取り組みを事業所に求めている.
 その後,厚生省は「国民健康づくり10カ年計画」を公表し,文部省も生涯を通じてスポーツを楽しむことのできる体力づくりとして「生涯スポーツの振興」を打ち出し,通産省の「余暇の開発」とか農林水産省の「農民の健康調査」など,各省庁が各々の所管する分野での「健康・体力づくり」を重点施策として打ち出している.

THPのノウハウ—健康測定

著者: 吉田秀夫 ,   道場信孝

ページ範囲:P.377 - P.381

◆はじめに
 人類が未だかつて経験したことのない長寿社会を迎えようとしている現在,健康に対する社会的関心はきわめて高い.一方,健康に関する情報は多く,また,診断技術の発達によってより詳細な精密検査が可能となった.しかし,得られる情報量が多いにもかかわらず,健康的な生活を送るという面からみると,必ずしも満足のいく結果が得られていない.疾病の早期発見という疾患管理を主な目的としたこれまでの健康診断では,個人の健康度の評価と,それに基づく疾病の予防や健康増進の目的への十分な対応は望めない.本来,健康診断では健康度の測定が中心課題となるべきものであり,そのことを踏まえて従来の一般定期健康診断に補足すべき考え方や,健康測定で実際に行われる評価項目の意義について以下に解説する.

THPのノウハウ—運動指導

著者: 生田香明

ページ範囲:P.382 - P.386

◆はじめに
 健康は,長い一生涯の生命を維持していくために最も基本となるものである.しかし,生涯の生命を維持していくためには,健康を考えているだけでは万全とは言えない.それには,労働災害や交通事故などの人災をはじめとして,火事・地震・洪水などの自然災害から緊急に生命を守るための身体的能力(体力)を身につけていなければならない,したがって,運動指導には,長い一生涯の生命を維持していくための最も基木となる「健康の保持・増進」と人災・天災などから生命を守るための「身体的能力の維持・向上」の二つの重要な側面が含まれている.
 本稿では,運動指導が企業で働く勤労者の加齢に伴う心身の健康の保持・増進,および労働災害などの緊急時の身体的能力の維持・向上にどのような役割を果たすかについて述べる.

THPのノウハウ—生活指導

著者: 大本美彌子

ページ範囲:P.387 - P.391

 トータルヘルスプロモーションプラン(THPP)は労働省が打ち出した施策ではあるが,人のトータルな健康アップを目指したプランであるから,すべての人の,個々の,一生を通じての身体的,精神的,社会的に均衡のとれた,そして職域に限らず生活全体をも包含した,統合的視点をもっての健康のレベルアッププランと考えるのが妥当であろう.
 人の健康は,加齢の諸段階において受ける保健行政の保護を受けながらも(図1),個々に異なる直接的環境の影響により支配されているので,地域社会においては個々人の職種の違いと個人特性が地域集団内における個人差を生み,職域においては個々人の居住地域特性と個人の特性が職域集団内における個人差を生ずる.職域環境が劣悪であれば居住地域等による個人差は不顕性となり,地域社会環境が劣悪であれば職種による個人差は気付かれ難い.さらにこのいずれの環境によるものでもない個人特性による差は,一層見過ごされやすい.また集団対策の必要な場合は,個人差を生ずる属性にまでは対応が及び難い.

THPのノウハウ—心理相談

著者: 河野慶三

ページ範囲:P.392 - P.395

◆THPにおける心理相談
 「心理相談」とは,何らかの心の問題を持った人が,それを自分自身で解決していく,その過程を心理学的手法を用いて支援することである.
 「心の問題」は様々であるが,心理相談を担当する人の資質の面からみると,表1のように区分することができる.

認定サービス機関におけるTHPの実践—淳風会健康管理センター

著者: 光宗皇彦

ページ範囲:P.396 - P.401

◆はじめに
 THP(トータル・ヘルス・プロモーション・プラン)とは,労働省と中央労働災害防止協会(以下,中災防)が推進する積極的な健康づくり運動のことである.これは,健康障害の防止を主体とする健康管理からさらに一歩進み,労働者の心身両面にわたる健康の保持増進を図るものである.昭和63年に労働安全衛生法が改正された際に,この積極的な健康づくりは事業者の努力義務として規定され,その内容は“健康保持増進のための指針”公示第1号で示されている.具体的には,健康測定で把握された現在の健康状態や運動機能を,運動・食事を中心とした生活習慣の改善により,より向上させようというものである.成人病の一次予防と共に,間接的には労働災害の減少も期待している.
 THPを実施するためには表1のスタッフが必要である.しかし,これらのスタッフを揃えることの困難な事業所は,中災防の認定した労働者健康保持増進サービス機関(以下,サービス機関)や労働者健康保持増進指導機関に委託することになっている.

企業におけるTHPの実践—日本鋼管(NKK)の「すこやか運動」

著者: 堀江正知

ページ範囲:P.402 - P.406

◆はじめに
 THPは産業の現場でいかに実践し定着させていくかが課題といえる.平成2年度末までに中央労働災害防止協会(中災防)が認定したサービス機関は,全国で100施設を突破しているが,そのほとんどは他企業に対してTHP活動をサービスする施設で,働く集団の中にあって,作業実態に適合した健康づくりを目指しているものは数施設に過ぎない.包括的できめの細かい評価や指導を必要とするTHPを,企業内組織として実践して行く場合は表1に示すような特徴があると考えられる.そこで本稿では,NKK保健センター(図1)がすすめるNKK版THP「すこやか運動」の基本理念や具体的手法を紹介しながら,企業内THPのポイントや課題について考えてみたい.

産業ストレスとメンタルヘルス

著者: 斎藤和雄

ページ範囲:P.407 - P.411

◆はじめに
 高度に情報化が進み,複雑化した現代社会において,職場におけるストレス問題は無視できない童一要な課題となっている.
 産業ストレスの概念は必ずしも明確にされていないが,種々のストレッサーが原因となってストレスが形成される.すなわち,オーバーワーク,職場における人間関係のもつれ,給料,生活設計上の問題,将来に対する不安,単身赴任,仕事,寒冷,暑熱,騒音,振動,有害労働環境などの物理化学的環境条件などはすべてストレッサーとなりうる.
 人間の適応能力や抵抗力は優れており,強力であるが無限ではない.働く者が職場におけるストレスを上手に解決し,処理できれば問題ない.しかし,このことは必ずしも容易ではない.とりわけストレスが強過ぎれば,労働者の健康は障害される.逆にストレスがほとんどなければ,活力が低下し,労働意欲が失われる.適度の労働やストレスは我々に活力を与え,勇気付け,さらに希望を持たせてくれる.労働に伴って経験する産業ストレスを良く分析し,特徴を把握し,それらのストレスを上手に処理する方策を見いだすことは極めて重要であり,そのためには職場におけるメンタルヘルス対策を積極的に進めることが必要である.

研究ノート

高齢化社会における保健所の役割に関する研究(第1報)—高齢者教室の評価と課題

著者: 関龍太郎

ページ範囲:P.412 - P.416

●研究目的
 高齢化社会において,保健所がどのような役割を果たすべきかについての研究は,極めて重要である.私たちは全国一人口の高齢化のすすむ島根県の一農山村である八雲村において継続実施している高齢者教室(せせらぎ教室と呼んでいる)の試みを評価し,今後迎えるであろう全国の高齢化社会における保健所の役割に対し,ひとつの指針を示すことを目的として本研究を行った.

地域リハビリテーションと機能訓練事業

高知県における機能訓練事業の現状と課題—高知県理学療法士会活動の視点から

著者: 小嶋裕

ページ範囲:P.417 - P.421

◆はじめに
 近年,地域リハビリテーション活動に対する要請が高まる中で,老人保健法による保健事業は,大きな役割を果たしている.特にその中で,機能訓練事業(以下,本事業)および訪問指導事業は,理学療法士(以下,PT)にとって大きな関わりが生じている.
 高知県理学療法士会(以下,県士会)では,昭和58年度より高知県下各市町村での本事業に対して,県士会単位でPT派遣を含む協力・援助活動を実施している.本稿では,これまでの県士会の協力・援助活動を通して得た経験から,高知県における本事業の現状を紹介するとともに,PTの立場から,本事業実施上のいくつかの課題を提起したい.

現代の環境問題・15

食品汚染—マイコトキシン

著者: 上野芳夫 ,   川村理

ページ範囲:P.422 - P.426

●はじめに
 真菌の第二次代謝産物で食品などを介して人畜に有害作用を示す化合物を,マイコトキシン(かび毒)といい,細菌毒や藻類毒と区分している.第二次大戦終了後アジア地区などから輸入した米が,黄色色素を生成するかびで汚染されていた,いわゆる黄変米事件に端を発し,汚染Penicillium属菌より肝発癌性ルテオスカイリン,腎毒性チトリニン,神経毒チトレオビリジンなどのマイコトキシンが同定された.また,日本各地で発生した赤かび中毒については,有毒Fusarium graminearumよりニバレノール(NIV)やデオキシニバレノール(DON)などのトリコテセン系マイコトキシンが同定され,ソ連での食中毒性無白血球症(ATA)もF. sporotrichioides由来の同じトリコテセン系T-2トキシンによる疑いが高い.
 一方,イギリスで発生したTurkey-X病に端を発してAspergillus flavus由来のアフラトキシンB1(AFB1)が同定され,その強力な肝発癌性と食品汚染から注目されているマイコトキシンである.

保健所機能の新たな展開—飛躍する保健所

米子保健所の地域活動

著者: 角忠明

ページ範囲:P.427 - P.430

■はじめに
 30年に近い基礎医学の研究と教育の歳月を経て,公衆衛生の現場に踏み込んでから,今夏で11年が過ぎる.国内外の大学や研究所を移ったり,極く短期間,自家の病院の診療や運営にも携わったが,行政の領域は初めての経験であった.
 そんなわけで,結核研究所や公衆衛生院の研修を終え,保健所の雰囲気になじめるようになってからまでも,度々大学への復帰を強く勧あられた.しかし心の奥では,すでに初老期に入っている自らの生涯を考え,父祖の地にこの骨を埋めようと堅く決意していた.それまで米子の地に放置し,迷惑をかけ通しであった家族や周囲の人びと,大きくいえば,自らを育んでくれた故郷へのささやかな報恩の思いもあった.とにかく,その夏,私は歩み始めた.
 今,ここに,編集子からの慫慂に意を決し,一歩ずつを数えるようにして印した私の足跡を振り返りながら,所員一体となって取り組んできた活動の一端を述べてみる.

進展する地域医師会の公衆衛生活動 在宅ケアモデル事業を進める熊谷市医師会・3

事業の成果と課題

著者: 山崎寛一郎 ,   山崎望人 ,   冠木徹彦

ページ範囲:P.431 - P.433

山崎会長「モデル事業を引き受けるに当たって,最初からいくつかの隘路が予想されました.たとえば,医療費の抑制になるのだろうかとか,マンパワーも含めて福祉的基盤が未整備な段階では,在宅ケアは行き詰まるのではないかということ.さらに私たちがハイテク看護と呼んでいる対象者に,本当にうまく訪問看護がやれるのかといったことなどでした.」
 「第1期で検討したことの一つは,この事業の目的である寝たきり老人をなくすためには,大阪の老人保健施設(本誌54巻2〜4号参照)のような通所施設が必要だということでした.また,現在はモデル事業ということで無料で実施していますが,市独自の財源ではまかないきれませんので,有料化の可能性も検討しなければなりません.第1期では第3セクターの可能性も検討しましたが,幸い第2期もモデル事業を引き受けましたので,さらに実態を把握して,これらの課題を継続して検討することになっています.」

目でみる保健衛生データ

エイズ(AIDS)

著者: 三木隆

ページ範囲:P.434 - P.435

 エイズは,HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染の経過のうち,細胞性免疫能が極度に低下し,特徴的日和見感染症や悪性腫瘍を伴った病態と定義される.WHOによると,1990年12月の時点で,全世界のHIV感染者は800〜1,000万人,累積エイズ患者は約130万人に及ぶという.2000年までに,HIV感染者は,控えめに見積もっても,2,500〜3,000万になり,累積エイズ患者数は500〜600万に達する1)
 アフリカ諸国では不特定異性愛行為,豪州を含む欧米先進国では男性同性愛,静注薬物濫用がその主たる感染経路であった.しかし,不特定異性愛による感染がいずれの国においても増加の傾向を示し,1985年異性間性的接触によるものは全世界のHIV感染者の50%,1990年には60%であったが,2000年には75〜80%に達すると推計されている1)

エスキュレピウスの杖

(15)ラオスへの出張

著者: 麦谷眞里

ページ範囲:P.436 - P.437

1.ラオス
 前々回の項で述べたWHOと先進国とのマルチ・バイ事業のひとつとして,3月中旬,ラオスへ出張した.4月から9月ごろまでは雨期で行動が制限されるため,乾期のうちにミッションを送ることにしたのである.ここでもう一度,マルチ・バイ事業の概要を紹介しておくと,あるひとつの開発途上国に対して,WHOと先進国とが共同で事業を実施しようというのが,最近の新しい試みであるが,その場合,WHOが,一種の請負機関となって,その先進国に代わって特異的に事業を実施するケースと,WHOは,あくまでも調整役として働き,事業そのものは,当該先進国と開発途上国との二国間協力の形態で行われるケースとがある.いずれのケースであっても,マルチ(WHO)とバイ(日・独・米・仏などの先進国)との緊密な連携による事業のことを指す.
 話を再びラオスに戻そう.

保健婦活動—こころに残るこの1例

たくましく生きた女性の,最期の選択

著者: 魚崎須美

ページ範囲:P.438 - P.438

 私が保健婦になって3年目の秋,民生委員さんから「ユキさんという91歳の独居女性が,近頃あまり買い物に出なくなった.気になるので一度訪問してもらいたい」という連絡が入った.
 ユキさんは群馬県生まれ.娘時代に出稼ぎのため大阪に出てきた.戦時中に空襲を逃れて神戸へ来てそのまま住みついた.戦後は競輪の予想屋をして生活し,その頃競輪場で知り合った男性の妾となった.旦那が「妾でも,自分で生きていく力を持っていたほうが良い」と,指圧師の勉強をさせてくれたので,旦那が亡くなった後は,指圧師をして84歳まで収入を得ていた.

精神分裂病患者とその父親へのかかわり

著者: 片平久美

ページ範囲:P.439 - P.439

 宮崎保健所国富支所は,宮崎県西南部,人口約4万1千人の純農村地区3町を管轄している,管内に約450人の精神障害者がおり,保健婦業務も精神保健活動が,大きなウエイトを占めている.平成元年度の家庭訪問件数の種別を見ると,50%が精神であった.
 今回,長期間にわたり入退院を繰り返していた分裂病患者が,家族,病院,保健所の密接な連携により,再入院することなく家庭内適応ができているので,紹介する.

発言あり

大学の公衆衛生教育

著者: 岸玲子 ,   重松逸造 ,   角田文男

ページ範囲:P.365 - P.367

「社会科学の目と『卒後教育システム』の確立を」
 臨床医であれ,公衆衛生専門家であれ,どれだけパブリック・ヘルス・マインドを持った医師を養成することができたか(できるか)が,大学における公衆衛生教育の成果の一つではなかろうか.率直に見ると,20年前(筆者が医学部の学生であった頃)も現在も医学生が公衆衛生学に向ける関心はそれほど高くはないようだ.残念だが,その意味ではいまだ多くの大学で,公衆衛生教育が十分成功しているとは言い難いとも言える.
 医学部の教育の主たる目的が,個人としての患者を対象とした医師の養成にあるのに対し,公衆衛生の目的は集団全体を基礎として疾病の予防を図り,健康の増進を進めることにあるのはいうまでもない.医学部を目指した多くの学生にとって,臨床医学に最も魅力を感じるのは無理がないだろう.しかし医学生の関心が,いつまでも個人の病気の発見や治療にとどまり,なかなか社会的な問題,たとえば地域や職域の保健医療の問題発掘や,国境を越えた国際保健の問題へと広がっていかないのはなぜだろうか.原因は色々あげられようが,ここでは二つの点を指摘したい.

保健行政スコープ

プレホスピタル・ケアを担う救急救命士の誕生

ページ範囲:P.440 - P.441

●はじめに
 21世紀に向けての救急医療体制のあり方を審議するため,厚生省に「救急医療体制検討会」が設置されたのは平成元年9月のことであった.その検討項目の一つとして,現場・搬送途上の救急医療の充実が掲げられていたものの,その当時はそれほど重視されていた事項ではなかった.しかし,マスコミの「救える命が救えない」というプレホスピタル・ケアに関するキャンペーンにより,救急現場・搬送途上の医療の空白が関心を集めるようになり,国会でも取り上げられるにいたり,厚生省,自治省消防庁ともこの問題に真剣に取り組まざるを得なくなった.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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