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発言あり
食中毒
著者: 植田昌宏1 高原順子2 中林圭一3
所属機関: 1国立公衆衛生院衛生微生物学部 2長崎県諫早保健所 3埼玉県衛生部保健予防課
ページ範囲:P.445 - P.447
文献購入ページに移動筆者は,公衆衛生分野においてウイルスの増殖様式や遺伝学的性状を研究している者であり,「食中毒」についての専門家ではない.「食中毒」という言葉を聞いて頭に浮かぶことは,1970年位まではサルモネラやビブリオを,1980年位にはそれらにウェルシュとウイルスが加わった.筆者の成長につれて知識が増えたのかと考えて見ると,それだけではない.科学技術の一般生活への普及と検査技術の進歩によるものであると結論される.科学技術の進歩は,一般家庭に冷蔵庫を普及させると共に,低温の方がむしろ生存に好適環境であるウェルシュをも普及させた.検査技術の進歩あるいは応用により,「食中毒」のあるものはウィルスで起こるということが一般的に認知され,筆者もそれらしきものの洗礼を受けた.生の貝を酒のつまみにした翌日であり,ほぼ1日不調であった.筆者の知識では,植物や魚介類で遺伝子の維持を図っているウイルスが,ヒトに急性な病気を起こすことは無い.ヒトに病気を起こすウイルスは,動物や鳥由来のウイルスである.それ以後,「食中毒の原因としてのウイルス」にも興味を持った.
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