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発言あり
日光浴
著者: 淺野牧茂1 佐藤健二2 丹野瑳喜子3
所属機関: 1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科 2大阪大学医学部附属病院皮膚科 3埼玉県越谷保健所
ページ範囲:P.517 - P.519
文献購入ページに移動戦前の小学生,中学生には林間学校や臨海学校という夏季休暇期間中の合宿制度があり,紫外線とオゾンに富んだ新鮮な空気とに包まれての“日光浴”は,理想的健康増進法の実践として半ば義務的に課された.しかし,今や死因順位第16位の結核も当時は国民病で,昭和25年には第1位を占めており,肺結核に冒されて何人かの級友が青春を待たずにサナトリウムで亡くなった.その後,ストレプトマイシン,アイナ(INAH),パス(PAS)の3者併用化学療法の確立を経て,肺結核による夭折は激減したが,当時,日光浴は結核性諸疾患の治療法として,専門家のみならず一般庶民の間でも,有効なものとして広く知られていたのである.
事実,筆者が医学生当時に購入したヴァデメクム(Vademecum der arztlichen Praxis)には,日光浴(das Sonnenbad)が掲げられ,適応症として「結核性症患ニ対シテ最モ広ク応用セラル他佝僂病,貧血症恢復期等」とある.
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