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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生55巻8号

1991年08月発行

文献概要

目でみる保健衛生データ

成人T細胞白血病

著者: 井上博雄1

所属機関: 1愛媛県衛生研究所

ページ範囲:P.566 - P.567

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 成人T細胞白血病(Adult T Cell Leukemia,ATL)の疾患概念が高月ら1)により提唱されてから15年,また日沼ら2)により原因ウイルスとしてHTLV-1が発見されて以来すでに10年が経過した.ATLはT細胞の中のCD4細胞が腫瘍化したもので,核の切れ込みを形態学的特徴とし,成人発症,高率な皮膚浸潤,肝脾腫,リンパ節腫大を伴い,しばしば高カルシウム血症を示す予後不良の疾患である.発見当初から九州,南四国出身者に多い地理病理学的特徴に気付かれていた.またHTLV-1の感染経路は,輸血などによる血液を介した感染,STDとして夫から妻への感染,および母子感染が明らかとされ,すでに輸血血液の抗体スクリーニングが導入されて久しく,輸血による感染の恐れはない.したがって,次世代への感染防止が公衆衛生上の課題であり,調査研究が進められている.この小論において,現在までに集積された主要な疫学的事象について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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