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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生55巻9号

1991年09月発行

文献概要

特集 食品衛生の新しい動向

食中毒の予防—きのこ中毒と衛生対策

著者: 山浦由郎1

所属機関: 1長野県衛生公害研究所

ページ範囲:P.622 - P.625

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■はじめに
 きのこはその用途によって食用,薬用,鑑賞用などに分けられる.食用としてのきのこは日本の秋の味覚を代表し,日本人は世界でも有数のきのこ嗜好民族である.ことに飽食時代の今日,グルメ志向や健康志向食品,機能性食品として,野生きのこはたくさんの人に利用され,よく食べられるようになった.反面,例年毒きのこの誤食による食中毒が頻発しており,食品衛生上の問題にもなっている.
 きのこ中毒はこれまで,そのほとんどが家庭に起因する家族単位で発生していたが,近年それに加えて新しい型の事例が発生している.例えば,野外でのバーベキューに参加した仲間29人のツキヨタケによる集団食中毒1),また食品関係営業者が介在していた事例が一昨年,昨年と続いて発生した.すなわち,飲食店が提供した料理に混じっていたクサウラベニタケによる客17人の集団食中毒2),路上販売されていたクサウラベニタケによる6家族,13人の食中毒事件3),さらに観光地の売店で購入したクサウラベニタケを自宅に持ち返って食べた1都2県の15家族,44人の食中毒事件4)など,最近のきのこ中毒は細菌性食中毒の場合と同様に集団化,広域化の傾向がみられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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