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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生56巻1号

1992年01月発行

文献概要

特集 日本の人口・世界の人口

日本における出生率低下

著者: 廣嶋清志1

所属機関: 1厚生省人口問題研究所人口構造研究部

ページ範囲:P.17 - P.21

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◆はじめに
 女性の一人当たり出産数,合計出生率が,1989年に1.57という史上最低を記録して以来,大きな関心を呼んでいるが,出生率が目立って低くなったのは実はここ2,3年のことではない.第1次石油ショック直後の1975年以来,合計出生率は人口が増えも減りもしない置き換え水準(2.1)を下回り,10数年間じわじわと下がり続けている.日本の今世紀の出生率の動向は3期に分けることができ,現在その第3期に入っているのである.第1期は戦前から1950年代の半ばまで,戦後の10年間を含む時期で,この時期に女性の合計出生率が5人から2人にまで低下し,多産多死から少産少死へと変化し,人口転換が終了した.現在の出生率低下は,これに連続するものではなく,その間に合計出生率が2を少し上回る程度におおむね維持されていた第2期20年間がある.この時期はほぼ高度経済成長期に相当する.
 合計出生率が1970年代半ばから2以下にまで低下した現象は,多くの先進資本主義国にほぼ例外なく共通して発生したものであり(表1),その背景には,国によるいくらかの差があるが共通の社会変化がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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