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特集 日本の人口・世界の人口
人間と性
著者: 山本直英1
所属機関: 1“人間と性”教育研究所
ページ範囲:P.22 - P.25
文献購入ページに移動スウェーデンで有名な性教育協会RFSUが創立されたのが1933年.1942年に学校での性教育が始まり,1956年に義務化されている.世界で最も先端をきったこの国の性教育は,かれこれ半世紀の歴史をもつことになる.ところが,この国でコンドームの自由販売が認められたのが1970年,中絶が自由に認められたのが1975年であることを聞けば,性についての統制は意外に強かったことがわかろう.アメリカですら,連邦最高裁判所が避妊具を合法化したのが1965年である.そのアメリカが,エイズ禍(現在男性の70人に1人,女性の700人に1人が感染)の対策として,テレビでのコンドームの宣伝を認めたのが,なんと4年前の1987年であった.現在わが国では,テレビどころか新聞雑誌などでも,コンドームの宣伝は自由に行われていない.生理用品のナプキンのコマーシャルが,茶の間のテレビに出現して驚いたのもつい最近のことである.
こうして見てくると,「人間の性」について国家はかなり干渉し,社会はかなり抑制していることがわかる.歴史的に見ても,人間の性行動への制約はかなり目立つ.たとえば,中絶への制約はどこの国でも大きかった.
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