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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生56巻3号

1992年03月発行

文献概要

特集 産業保健への免疫学の応用

免疫学の方法と技術—免疫毒性の評価

著者: 吉田貴彦1

所属機関: 1東海大学医学部衛生学教室

ページ範囲:P.155 - P.159

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■はじめに
 かつて産業現場で見られた健康障害は,有害物質への大量暴露による急性中毒が主であり,症状も劇的かつ特徴的で,すぐにそれと分かるものであった.しかし,今では労働衛生概念の徹底や職場環境の改善などによって急性中毒はほとんど無くなった.代わって,長期微量暴露によって起こる慢性中毒が問題となってきた.慢性中毒は典型的な症状を呈さない場合も多く,悪性腫瘍といった深刻な健康障害として発症して来るものもある.この慢性中毒の把握法の一つとして免疫毒性が取り上げられている1,2).これは免疫毒性の評価法が,生体への影響を感度良く検出できる方法と考えられているからである.
 今まで動物実験において様々な物質による免疫毒性が研究されてきた.一方,環境あるいは労働現場で,ある物質に暴露されているヒトにも免疫毒性が観察され報告されるようになってきた.また作業者に行う免疫学的検査を健康影響指標として健康管理に応用しようとの試みもある.ここでは免疫毒性の研究の手段となる免疫学的検査法について細かく述べるには到底誌面が足りないので,免疫毒性の実験の行い方とその評価の仕方を中心に述べ,産業保健への免疫毒性学の応用について考察する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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