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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生56巻3号

1992年03月発行

文献概要

現代の環境問題・24

広域汚染—酸性雨

著者: 原宏1

所属機関: 1国立公衆衛生院地域環境衛生学部

ページ範囲:P.204 - P.208

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1.酸性雨とは何か?
 1)酸性雨は「酸性」の「雨」ではない
 国語辞典で酸性雨を引いてみよう.「大気汚染物質の窒素酸化物や硫黄酸化物が溶けこんで降る酸性の雨.水素イオン指数が5.6以下.土壌・森林・湖沼などに深刻な被害を与える」とある1).似たような記述を専門雑誌でも見かけることがあるが,大気化学の研究者の間の認識とはかなり異なる.まず,窒素酸化物はほとんど溶けず,硫黄酸化物は溶けてもわずかであり,またかなり溶けたとしても,問題になるほどの酸性にはならない.これらの汚染物質が酸化した硫酸や硝酸が雨を酸性にするのである.
 ここで注意したいのは,酸性雨は「酸性」の「雨」と考えてはいけないということである.まして,pHの値だけで判断すると,酸性雨の問題の半分以上を始めからスッポリと落とすことになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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