icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生56巻3号

1992年03月発行

文献概要

エスキュレピウスの杖

(24)官僚の本質・1

著者: 麦谷眞里1

所属機関: 1WHO本部

ページ範囲:P.212 - P.213

文献購入ページに移動
1.コモン・センス
 「常識」というのか「共通の意識」というのか,大方そんな意味あいをもった英単語だが,改めて言うまでもなく,人類共通の常識というのは,存在しない.研究社の「英和中辞典第5版」には,「人生の経験から身についた思慮分別」とある.しかし,現実の世界では,一方の常識が他方の常識でない例は,枚挙に暇がない.そんな大袈裟な話でなくとも,たとえばWHOの東地中海事務局は,エジプトのアレキサンドリアにあるが,ここの勤務時間は,朝7時半から午後2時半までである.この間,職員は,原則として体憩をとらずに働く.金曜と土曜が休みで,日曜は出勤日である.このままだと,週40時間の労働規定に足らなくなるので,火曜日の午後だけ夕方7時半まで働く.これが,彼らの常識である.したがって,アレキサンドリアに出張すると,一日の時間配分に困ってしまう.朝6時半ごろホテルで朝食を摂ったあと,7時半に事務局へ行き,会議なり協議なり行うが,そのまま午後2時半までデス・マッチなのである.その間,例のどろどろのトルコ・コーヒー(もっとも私は,これが好きだが)しか喫まない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら