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文献概要
特集 健康な住宅
一般住宅における室内環境—現状と問題点
著者: 加藤廣人1
所属機関: 1愛知県衛生部環境衛生課
ページ範囲:P.313 - P.316
文献購入ページに移動窓を閉め,石油ファンヒーターに点火する.心地よい暖かさと平行するかのように,デジタルCO2計の数値がぐんぐん上がっていく.ガスコンロに火をつけ炊事を始める.COの数値も上がり始めた.しばらくするとCO2の数値は4,000ppm付近を,COは10ppm付近をウロウロしはじめた.湿度を確認する.60%近くにある.換気をするためガラス戸を20cmほど開けた.ひんやりとした冷気が入ってくる気がする.しかし,CO2の数値は思ったほど下がらない.5分間開けて,やっと2,500ppm程度になった.
近年,日本の住宅は快適な温熱環境を確保できるようになった.高断熱,高気密化のおかげである.この傾向はさらに進むものと考えられる.省エネルギーの面からもそれは必要なことだ だが,この高気密化が一方では住む人に不健康を生じさせている.仕事に疲れた身体を休ませるための,また家族が安らかに団欒するための場である住宅において,知らず知らずのうちに不健康が生じている.不健康を生じさせるもの,それは室内換気量の減少による室内空気汚染の問題であり,ホコリが堆積し湿気がこもることによるダニ・カビの発生問題である.
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