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特集 健康な住宅
アメリカのコミュニティ住宅と包括的ネットワーク
著者: 平山洋介1
所属機関: 1神戸大学工学部
ページ範囲:P.335 - P.339
文献購入ページに移動今日のアメリカにおいて,CDC(Community-based Development Corporation)による“コミュニティ住宅”は着実な成長を遂げ,低所得層への住宅供給を新しい方法で発展させている.このCDCは,非課税資格をもつノン・プロフィットの法人組織で,低所得層の特定のコミュニティに基礎を置き,住宅供給を中心に多角的活動を展開している.それは,人種問題・貧困問題へのプロテスト活動,教会関連活動,コミュニティ活動などにルーツをもち,1960年代に徐々に成長しはじめ,近年に至って飛躍的発展を実現した.今日のコミュニティ住宅は決して“少数事例”ではなく,むしろ低所得層への住宅供給の主要な方法であり,荒廃したコミュニティを再生する広範な実績を示している.
CDCによるプロジェクトのきわだった特性は,住宅を単純に供給するのではなく,そこに保健・医療,雇用,福祉などの一連の社会サービスを組み合わせていく点にある.アメリカのコミュニティには,住宅供給を扱うCDCだけでなく,社会サービスの問題をターゲットに据えるノン・プロフィット組織が多様に発達している.
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