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公衆衛生人国記
和歌山県—公衆衛生活動を支えた人達
著者: 橋本勉1 木下純子2
所属機関: 1和歌山県立医科大学公衆衛生学 2和歌山市中央保健所
ページ範囲:P.352 - P.355
文献購入ページに移動「和歌山医学」に掲載された優秀な論文に対し,基礎医学,臨床医学に関するものそれぞれ1篇ずつに和歌山医学会から年に一度の総会の場で贈られる二つの賞がある.前者は古武賞であり,後者は青洲賞である.和歌山を代表する偉大な先達の名誉にちなんだものである.この二人にふれないではすまされない.
古武弥四郎は昭和20年,和歌山県立医学専門学校が創設されるにあたり,初代校長として迎えられた.まもなく和歌山市は大空襲にあい,市内の大半は一夜にして廃虚と化した際,附属病院再建に没頭,戦後の苦しい県財政の中にあって着々と整備充実を図り,また大学昇格についても全力を傾けた.昭和23年,大学昇格とともに初代学長となった.発表された論文は広く内外に引用され,研究者として優れていたことはもちろんだが,謹厳清廉な人で「医学は古来仁術といわれる.医師は人道博愛の精神に生きねばならぬ.技術,学識がいかに優秀でも,人格がそなわらねば立派な医師にはなれない」と,常に学生や門下の者に説き,和歌山県立医科大学では常に「古武の説いた原点に戻れ」といわれるほどに大きな影響を与えた人物である.
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