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特集 地域における看護と介護
在宅ケアについて—福祉のサイドから考える
著者: 中村秀一1
所属機関: 1厚生省大臣官房老人保健福祉部老人福祉計画課
ページ範囲:P.408 - P.413
文献購入ページに移動わが国の人口の高齢化は,今後30年続く.高齢者対策もこれから30年の大きな事業である.福祉対策は,所得保障=年金,医療・保健と並んで高齢者対策の基本となるものである.高齢者福祉において在宅ケアがどのような位置にあるかから,説明してみたい.わが国の高齢者福祉は,1963年の老人福祉法の制定に始まり,ほぼ30年の歴史を有する.しかし,その歩みの大部分は,特別養護老人ホームの整備を中心とする施設対策に重点が置かれ,在宅福祉は立ち遅れてきた.
在宅福祉のメニューの中では,唯一ホームヘルプ事業が「家庭奉仕員事業」として昭和38年に老人福祉法が制定された際に法定化されている.だが,1982年まで派遣対象世帯が低所得者に限られていたり,ホームヘルプ事業に対する国の補助率が1989年まで1/3と施設対策に対する補助率(1/2)より低かったことなどから,ホームヘルプ事業の定着は十分ではなかった.ホームヘルプ事業以外の在宅福祉対策としては,1978年にショートステイ事業が,翌1979年にはデイサービス事業が創設されている.1986年には,この2事業は老人福祉法に盛り込まれ,法定化されている.
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