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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生56巻9号

1992年09月発行

文献概要

保健婦活動—こころに残るこの1例

へき地で一人暮らしを続けるYさん

著者: 田中冨美子1

所属機関: 1京都市中央老人福祉センター

ページ範囲:P.645 - P.645

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 右上肢の先天性奇形を持つYさんの精神分裂病が発病したのは約42年前,中学校卒業後の事でした.当時は大学病院などに入退院を繰り返していましたが,医師から「治る見込みはない」と宣告され,両親の思いから帰郷しています.その後十数年間は治療もせず,家でブラブラと過ごす陰性症状が続き,遠くに住む姉や弟はたまにしか帰りませんでした.近くに住む従弟たちは,Yさんや高齢の両親の生活を気にかけていましたが,「弟がいるのだから何かあれば入院させるだろう」と積極的な関わりを避けていました.
 Yさんの精神症状は数年単位で一進一退し,私が初めて訪問した10年前も,47歳の彼は不眠・幻聴・独語などによる社会的不適応状態でしたが,すでに高齢の両親はYさんの治療や社会復帰に対する期待を失っていました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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