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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生57巻10号

1993年10月発行

雑誌目次

特集 地域保健をどうすすめるか—保健所長はこう主張する

地域保健をどうすすめるか

著者: 笹井康典

ページ範囲:P.676 - P.679

■はじめに
 昭和53年から始まった国民健康づくり計画は,保健所の公衆衛生サービスに加えて,プライマリー・ヘルスケアの理念を踏まえ,住民に身近な市町村で生涯を通じた健康づくりをすすめるという点で画期的なものであった.昭和58年からの老人保健事業も地域保健活動に大きな影響を与えた.それらは保健所と市町村が協力した保健活動を一層進める契機になるなど,新しい刺激をもたらした.次いで昭和60年に医療法が改正された.医療圏が設定され,医療計両が策定されることとなった.
 平成元年には,保健所のあり方を中心として地域保健将来構想報告書が発表された.そして,その趣旨を踏まえ,地域保健活動における①地域保健医療計画の具体化,②総合相談事業,③広域的・専門的対人保健サービス,④総合的な在宅ケアの体制づくり,⑤栄養・運動・休養面からの健康づくり,⑥地域特性に対応した先駆的事業,⑦公衆衛生関係者に対する研修事業,⑧市町村の保健事業実施に対する指導,技術援助等の充実が図られてきた.
 今回「地域保健対策の基本的な在り方について」の報告が出された.

保健所からみた新しい地域保健の構築

著者: 景浦しげ子

ページ範囲:P.680 - P.684

■はじめに
 公衆衛生行政に従事してわずかに10年足らずの若輩が,このようなテーマで書くことは大変おこがましいことではあるが,現在,「四国公衆衛生医師の会」の幹事であるということでお許しをいただきたい.ただし,今回述べることは,会の総意ではなく,筆者一個人の意見であることをお断りしておく.
 昨年暮れの厚生省の「見直し」表明以来,本会では本年2月の四国公衆衛生学会でのシンポジウム「公衆衛生よ何処へ」の開催協力や,3月に厚生省への要望書の提出,7月9日のサマーセミナーの中心議題とし,さらに,今回の「見直し」の最終案への「意見書」の提出などを行ってきた.各県状況は様々ではあるが,今後の「公衆衛生」が少しでも良い方向にという熱い思いは会員全員に感じられる.
 愛媛県では,かつて昭和51年に,保健所の統廃合が検討されたことがある.この時の新聞記事によると,対象保健所管轄の市町村,関係団体,住民等が,激しい反対運動を行ったとある.そのためか,実施は見送られた.しかし,現在はどうであろうか.

保健医療計画の推進

著者: 一ノ渡義巳

ページ範囲:P.685 - P.688

■はじめに
 昭和60年12月医療法の改正があり,61年8月から施行された.同法第30条の3に「都道府県は,当該都道府県における医療を提供する体制の確保に関する計画(以下「医療計画」という)を定めるものとする」とあり,全国で計画作成が始まった.関連の以後の通知は下記のごとくである.
 ①昭和61年8月「医療計画について」(健康政策局長通知)
 ②平成2年11月「地域保健医療計画の作成」(健康政策局計画課長通知)
 ①の局長通知には別紙として「医療計画作成指針」が添付され,この時点では保健の文字はどこにも見られない.
 ②の課長通知に初めて保健医療計画が正式に登場し,通知文の中に「地域保健医療計画は,都道府県医療計画を踏まえた圏域別の計画……」とあり,さらに「地域保健医療計画は最終的には医療法に基づく医療計画の一部として位置付けられるものである」と御丁寧にも記載されている.われわれはこの通知を見て奇異に感じたものである.医療計画が先にあって,保健は後から無理にくっつけたような気がした.

保健・医療・福祉の連携

著者: 草野文嗣

ページ範囲:P.689 - P.693

■はじめに
 ここ10数年来,保健・医療・福祉の連携ということが頻繁に言われるようになってきた.事実,われわれの生活は,健康にかかわることに限らず,政治・経済・社会問題に関して,あらゆる事象が,世間の諸々の事柄と複雑にかつ有機的・組織的に連携し合っている.したがって,われわれの毎日の生活がより順調に過ごせるためには,これらの関係がよりスムーズに運ばれることが必要なことである.われわれに,一生を通じての健康な生活が保障されるためには,必要な人に,必要なものが,必要なときに,しかも過不足なく提供されることが最も望ましい.このことを,地域社会の組織的な努力・活動を通して実現するのが,公衆衛生の根本であると思われる.
 連携ということが近年強調されると同時に,システム化とか,ネットワーク,さらに有機的・組織的ということが随所に見聞される.これらの言葉に接するとき,筆者は,われわれの身体のことがまっ先に頭に浮かぶ.われわれのこの身体こそ,まさしく組織的に連携の行き届いた,有機体ではなかろうか.目の前に物が飛んでくれば,瞼が閉まる.口に食物を入れれば,自然に唾液が出て,飲み込めば食道から胃腸に運ばれ,やがて排泄される.

大都市における保健事業の構築

著者: 和気健三

ページ範囲:P.694 - P.698

■はじめに
 21世紀まで余すところ6年となり,WHOは「西暦2000年までに世界のすべての人々に健康を」の実現に力を注いでいる.しかし,世界中のあちこちで紛争が生じ,尊い生命が失われ,貧困と飢餓に苦しんでいる人々が数多くいる.地球規模での環境破壊が進み健康への影響が心配される.こう考えると21世紀がどのような世界になるか予想がしにくい.ただ,わが国が高齢社会になることは確実で,厚生省人口問題研究所の中位推計では,2025年に高齢化率は25.4%となる.生活習慣病としての成人病,寝たきりや痴呆性老人がますます大きな問題になると思われる.エイズの動向も,今後の対応が注目される.乳児死亡率は戦後著しく改善されたが,低出生率,小児アトピーなど身近な生活環境と関連して,母子保健もこれからの課題といえる.大都市では保健事業を進める上で,保健所は身近な保健サービスを実施する機能と専門的・技術的な機能をあわせて考慮せねばならない.そして,変化の激しい社会の中にあって,的確に保健ニーズを把握し,医療・福祉との連携のもとに地域特性を踏まえた保健活動を担うべきだと思う.

環境保健と保健所活動

著者: 小亀正昭

ページ範囲:P.699 - P.703

■はじめに
 第二次世界大戦後のわが国における公衆衛生は,昭和21年に制定された日本国憲法第25条によって社会福祉,社会保障と並んで健康で文化的な生活を営むための社会の大きな柱として位置付けられた.そして,昭和22年に全面改正された保健所法によって保健所が地域における公衆衛生行政の第一線機関として再発足した.C. E-A. Winslowの定義によると,公衆衛生の目標は地域社会のすべての人々の健康を向上させることであり,そのためには環境衛生,疾病予防,医療,生活水準の保障など幅広い分野における共同社会の組織的な努力を重要視しているが1),保健所の担ってきた活動は,時代の変遷や地域の特性に応じた公衆衛生の実践そのものであったように思われる.
 しかし,現在に至るまでの間,昭和43年の「基幹保健所構想」,昭和47年の「保健所問題懇淡会基調報告」,平成元年の「地域保健将来構想報告書」など何度かの保健所見直しが検討されてきた.今年1月からは公衆衛生審議会・総合部会において地域保健の総合的な見直しの審議が始まり,7月には同部会から厚生大臣に対して「地域保健対策の基木的な在り方について」の意見具申がなされた.

母子保健事業における連携

著者: 大矢紀昭

ページ範囲:P.704 - P.708

■はじめに
 「出生率,史上最低,1.50人」.平成5年6月5日(土)の朝刊第一面の見出しである.平成4年の人口動態によると,1年間の赤ちゃんの出生数は日本全国で約1,209,000人,1人の女性が生涯に子どもを産む数を示す「合計特殊出生率」も1.50人と,ともに史上最低を記録した,と大きく報道している.出生率の低下は死亡率のいかんにかかわらず,高齢化社会をすすめることを考えると,少子化時代の今こそ母子保健は従来にも増して日本社会にとって大切な分野と思われる.筆者は元来小児科の一臨床医であったが,平成3年4月より京都府宇治保健所の所長として勤務している.本保健所は京都府の南部,滋賀県との県境に位置し,宇治市(人口18万),城陽市(人口8万),久御山町(人口2万)の2市1町を管轄するU1型保健所である.今回は宇治市(保健婦は母子保健担当9人,成人保健担当5人,予防注射担当1人)を中心に,宇治保健所との母子保健に関する事業分担の現状とその問題点について,宇治市1)と保健所事業報告書2)を参考にして考えてみた.

健康教育・健康相談における連携

著者: 村田明

ページ範囲:P.709 - P.713

■はじめに
 超高齢化社会の保健ニーズに十分対応できる市町村,保健所の地域保健の体制はどうあるべきか,目標と役割分担,連携はどうあるべきか,平成3年6月に地域保健将来構想報告書においてその方向性が示され,身近な対人保健サービスは市町村で実施すべきとし,その前提として,昭和57年度から実施された老人保健事業等が地域住民により身近なサービス体系として定着してきていることをあげている.
 高齢化社会の到来は,高齢三失,すなわち健康を失う・職を失う・知己を失う,といわれる.高齢者が知己(友),健康を失うことは死と直結する深刻な状態におかれることであり,これに十分対応できるシステムの確立が必要である.筆者は,長年老人ホーム入所判定委員として老人福祉対策に関わってきたが,長期間の入所待機者が多く,本人家族とも実に厳しい在宅生活を余儀なくされている.現在のわが国の老後は必ずしも安心して送れる状況にはなっていない.
 最近は,働き盛りの勤労者の過労死問題,また労働省・厚生省の健康状況,保健福祉動向調査によると労働者の半数が精神的疾病とストレスとを感じていると報告している.

健康診査事業における連携

著者: 土井光徳

ページ範囲:P.714 - P.717

■はじめに
 急速に進行する人口の高齢化に伴い,国,都道府県,市町村は保健事業においても,新たな展開を必要としてきている.
 感染症予防において大きな役割を果たした保健所においても,住民の疾病構造の変化とともに脳卒中,虚血性心疾患,がんをはじめとする成人病の予防が亜要な課題となった.特に,全国的には昭和58年の老人保健法の施行以後,保健所,市町村は成人病の予防に力を注いできた.今後,高齢化の進行とともに保健所は市町村,医師会と連携を保ちながら,市町村における成人病予防対策を発展させるよう協力し,一層の予防効果が得られるよう努力すべきである.一方,国は市町村における保健センターの設置を義務づけ,高齢社会にも対応できる保健サービスを充実することをねらいにしている.
 保健サービスは赤ちゃんから高齢者までのすべての住民を対象としており,当然のこととはいいながら,サービスの質の向上を目指さなければならず,そのために,市町村,県が役割をいかに分担するかが極めて重要であるが,その際,各地の特性に応じた対応が可能となるよう,国の広い視野からの配慮を期待する.保健サービスには極めて多くの種類があるが,ここで述べるのは健康診査事業についての私見である.

訪問指導・訪問看護における連携

著者: 関龍太郎 ,   福沢陽一郎

ページ範囲:P.718 - P.722

■保健婦はどのくらい訪問しているのか
 保健婦は,今,どのような訪問指導・訪問看護をどのくらいしているのであろうか.もちろん,全国各地の条件の中でちがうであろう.出雲保健所管内は人口17万人で,40歳以上の人口が88,451名,65歳以上で28,978名(16.3%)である.管内は出雲市,平田市,簸川郡の2市5町で,面積603平方キロメートルである(平成2年).管内の老人保健法に基づく保健婦,看護婦等の年間訪問件数は4,619回である.この数字からみると,よく訪問をしているような印象をあたえるが,そうではない.このことは老人保健法の他の事業と比較するとよくわかる.平成4年の実績では基本健康診査23,429名(受診率55.1%),健康教育18,350名,健康相談16,387名,機能訓練なし,胃がん検診6,424名,子宮がん検診5,335名,乳がん検診2,213名等に比較して,4,619件を訪問したという数字が,いかに現在の保健活動が訪問よりも集団検診が中心になっているかを示している.
 また,管内の保健婦の訪問の状況を保健婦活動月報からみても,保健所は9名の保健婦がいるが,訪問延べ件数は728件であり,1人あたり80.9件である.

機能訓練事業における連携—高齢者ヘルスケアシステムの確立を目指して

著者: 佐甲隆

ページ範囲:P.723 - P.726

■はじめに
 老人保健法の実施から10年が流れ,高齢化の進行の中で,在宅ケアの必要性が高まり,保健事業の重点も徐々に機能訓練にシフトしつつある.
 現在三重県では,市町村事業としての機能訓練の実施率は65%となっているが,実際のニーズには,十分に応えられているとは言えぬ状況にある.したがって,保健所や医療機関,保健福祉施設が,いかに市町村と連携し,支援してゆくかが大きな課題となる.この小論では,我々の実施した脳卒中情報システムの試みを通して,地域リハビリテーションの推進,包括的な高齢者ヘルスケアシステムの確立に向けた取り組みや,保健所の市町村への連携・支援の方策などを考えてゆきたい.

保健所長の新しい実践への期待

著者: 重松峻夫

ページ範囲:P.727 - P.730

 地域保健をめぐる状況は,最近の地域保健改革に関する多くの論議の中に繰り返し述べられ,見直しの必要性については,異論がないと思われる.7月初旬公衆衛生審議会総合部会は,国の「地域保健対策の基本的在り方について」の諮問に対する答申を提出した.この地域保健の大きな変革の流れの中で,保健所関係者は危機感を持ち,意見の集約,具申等対応に忙しかったと思われる.我々も衛生学・公衆衛生学教育協議会において,地域保健の改革を,保健所問題を中心に検討してきた.今回の答申は地域保健の枠組みとシステムの改変であるが,後者についての具体的なあり方は今後の立法過程と,その実施への方策に残されている.この時期に,多くの保健所長のそれぞれの立場からの意見を集める企画は時宜に適したもので,編集者の依頼に応じて一文を草することとした.

講座 10代のこころを診る—思春期相談のために・10

うつ病と自殺

著者: 齊藤万比古

ページ範囲:P.731 - P.734

「ただ………ただ,僕は感じる………僕はだめなんだと感じちゃう,何か僕が悪いって.自分がもうだめなんだと,何もできないって感じるのは,本当につらいんだ.」
1.はじめに
 文頭に引用した言葉はD.マックニューらの著書(栗田 広訳『子どものうつ病』,晶文社,1991)の中でうつ病の高校生が面接者に語る自分の感情の描写である.このような落ちこんだ,元気のない,あるいは死にたがっている子どもはうつ病と診断されるような心の病気である可能性がある.従来,うつ病は十代後半にあたる青年期以降の大人の世界の現象であり,十代前半の思春期年代以前にはほとんど生じないとされてきた.しかし現在では,十代前半以下の小中学生や幼児の間にもうつ病が生じることはそれほど珍しくないと考えられるようになっており,多動,登校拒否,非行,自殺など様々な子どもの問題の背景にうつ病が存在する可能性に注目が集まるようになってきている.

調査報告

医学生と精神障害との社会的距離に関する研究

著者: 寺田純雄 ,   岩沢邦明 ,   清水靖仁 ,   川上憲人 ,   荒記俊一

ページ範囲:P.735 - P.738

◆はじめに
 地域住民や家族の精神障害者に対する態度は,精神障害者の社会復帰に大きく影響する.この観点から人々の精神障害に対する態度,すなわち社会的距離(social distance)について多くの研究1-4)が行われてきた.
 地域住民とならんで,医療関係者の精神障害者に対する態度は,精神障害者の治療を行う者として,あるいは一般住民に対し専門家としての助言を行う者として重要と思われる.このため従来から精神障害者に対する医療関係者の態度に及ぼす医学教育の効果が注目されてきている.これまでの看護学生を対象とした報告2)では,教育は精神障害者に対する理解度および許容度を増加するとされている.また医学部学生では高学年ほど精神障害の判断が適切であり5),また精神障害に対する許容的態度が増加する5)とされている.
 これまでの研究では精神障害者に対する社会的距離を単一の尺度によって評価することが多い.しかしながら,精神障害者に対する意識あるいは態度は,複数の要素から構成されている可能性がある.このため医学教育によって精神障害者に対する態度のある側面が許容的になる一方,逆にある側面では非許容的な態度を形成することも考えられる.

資料

平成2年乳幼児の身体発育調査結果について

著者: 加藤則子

ページ範囲:P.739 - P.741

 わが国における全国的な乳幼児の身体発育調査は,約半世紀にわたって10年ごとに行われてきており,1960(昭和35)年以後は行政調査として厚生省が実施している.1990(平成2)年9月に実施された調査の結果がこのたび公表された1)ので,その一部を以前の調査結果と比較しながら紹介する.なお,調査の正式な名称は元号を用いたものであるが,本稿では前後の年次との関連を考慮して西暦年号も用いた.

保健活動—心に残るこの1例

S幼稚園集団下痢事件から学んだこと

著者: 土屋久幸

ページ範囲:P.742 - P.742

 筆者が公衆衛生に入り,4年目も半ばを過ぎようとした平成2年10月18日,S幼稚園集団下痢事件が起こった.
 最初の連絡は,園児の入院している病院を管轄する保健所からで「浦和市代山のS幼稚園児が下痢症で5名入院し,うち,2名が死亡した」というものだった.当日入手した情報では,①患児は血性の下痢を呈している,②患児の中にはDICや溶血性尿毒症性症候群を呈している児もいる,③入院している患児が,S幼稚園児およびS幼稚園関係者である,などだった.これらの情報からS幼稚園の園児らが,何らかの共通の病原体に侵されていると想像された.この病原体が何であるかは全くわからなかった.その後の調査で,この病原体はS幼稚園の飲用井戸水中に存在した病原大腸菌O157:H7という腸管出血性大腸菌で,この菌はベロ毒素(赤痢の志賀菌の持つ強力な毒素によく似たもの)を産生し,出血性大腸炎や溶血性尿毒症性症候群を引き起こしていたことがわかった.

発言あり

芸術の秋

著者: 原田和代 ,   村瀬敏郎 ,   吉田壽三郎

ページ範囲:P.673 - P.675

 「奈良大和路の古寺へのいざない」 「芸術の秋」です.日頃,あまりの多忙さに追われて自分を見失いがちになる日々ですが,このテーマを与えられたお蔭で少し思い出をたどろうと思います.筆者は「奈良近郊」に住んでから30年近くになろうとしています.そのせいか「奈良大和路の古寺」が大好きです.四季折々に訪ねても,その時々の自然のうつろいが,また違った趣を感じさせてくれるからです.
 好きなお寺はたくさんありますが,中でも「室生寺」,「唐招提寺」が好きです.「室生寺」は特に思い出多いお寺です.

保健行政スコープ

末期医療に関する国民の意識について

著者: 梅田勝

ページ範囲:P.744 - P.745

 近年,脳死・臓器移植に関わる問題,がんや植物状態患者等の増加に伴う末期医療の問題などを契機として,医療における倫理に対する国民の関心が高まっている.また,現在の医療水準では治療が期待できない末期状態や植物状態の患者に対する延命医療について,そのあり方が問われている.
 そこで,平成5年3月,「末期医療に関する国民の意識調査等検討会」が設置され,こうした末期医療に対する現時点での国民の意識をアンケート調査方式で把握するとともに,その結果に基づいて問題となる論点を整理し,わが国において求められている末期医療のあり方について検討した.8月4日,検討会は,アンケート調査結果と整理された論点をまとめた報告書を健康政策局長に提出した.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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