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講座 10代のこころを診る—思春期相談のために・10
うつ病と自殺
著者: 齊藤万比古1
所属機関: 1国立精神・神経センター国府台病院児童神科
ページ範囲:P.731 - P.734
文献購入ページに移動1.はじめに
文頭に引用した言葉はD.マックニューらの著書(栗田 広訳『子どものうつ病』,晶文社,1991)の中でうつ病の高校生が面接者に語る自分の感情の描写である.このような落ちこんだ,元気のない,あるいは死にたがっている子どもはうつ病と診断されるような心の病気である可能性がある.従来,うつ病は十代後半にあたる青年期以降の大人の世界の現象であり,十代前半の思春期年代以前にはほとんど生じないとされてきた.しかし現在では,十代前半以下の小中学生や幼児の間にもうつ病が生じることはそれほど珍しくないと考えられるようになっており,多動,登校拒否,非行,自殺など様々な子どもの問題の背景にうつ病が存在する可能性に注目が集まるようになってきている.
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