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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生57巻10号

1993年10月発行

文献概要

講座 10代のこころを診る—思春期相談のために・10

うつ病と自殺

著者: 齊藤万比古1

所属機関: 1国立精神・神経センター国府台病院児童神科

ページ範囲:P.731 - P.734

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「ただ………ただ,僕は感じる………僕はだめなんだと感じちゃう,何か僕が悪いって.自分がもうだめなんだと,何もできないって感じるのは,本当につらいんだ.」
1.はじめに
 文頭に引用した言葉はD.マックニューらの著書(栗田 広訳『子どものうつ病』,晶文社,1991)の中でうつ病の高校生が面接者に語る自分の感情の描写である.このような落ちこんだ,元気のない,あるいは死にたがっている子どもはうつ病と診断されるような心の病気である可能性がある.従来,うつ病は十代後半にあたる青年期以降の大人の世界の現象であり,十代前半の思春期年代以前にはほとんど生じないとされてきた.しかし現在では,十代前半以下の小中学生や幼児の間にもうつ病が生じることはそれほど珍しくないと考えられるようになっており,多動,登校拒否,非行,自殺など様々な子どもの問題の背景にうつ病が存在する可能性に注目が集まるようになってきている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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