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特集 健康スポーツ科学の展開
日本健康スポーツ連盟の活動
著者: 玉利齊1
所属機関: 1日本健康スポーツ連盟
ページ範囲:P.846 - P.849
文献購入ページに移動日本健康スポーツ連盟の活動を説明する前に,世界と日本ではいつ頃から健康スポーツという概念が生じて来たのか考えてみたい.
話は飛躍するが7〜8年前,イタリアのポンペイの遺跡を訪れたことがある.周知のようにポンペイは,紀元80年頃ベスビオス火山の噴火によって熱風に襲われ,瞬時に多数の人々が死亡し,生前の生活の状態のまま埋もれた古代都市である.約2000年前の古代の人々の生活が,ありのままに残されている姿に感銘を与えられるのは筆者だけではあるまい.中でも筆者が非常に驚いたのは公衆浴場の形態である.ローマ人が風呂を好んだことは有名で,ローマ風呂という名が現在も残されていることで承知していたが,その作りが湯船のあるスペースとスティームバスのスペースとに分かれ,しかも入浴後にくつろぐサロンと飲食をするスペースがあることだった.
さらに刮目したのは,なんと浴場と隣接して運動場のスペースが設けられていることだった.このことは現在のヘルスクラブやヘルススパと基本的な形態は全く変わらず,2000年前にローマ人たちは今日の健康産業の原型をすでに所有していたわけである.
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