文献詳細
研究ノート
脂肪酸構成からみた栄養摂取と循環器疾患の関連に関する研究—虚血性心疾患の集団内症例対照研究(都市)
著者: 佐藤眞一12 飯田稔1 吉田善彦2 小町喜男2 北村明彦1 木山昌彦1 内藤義彦1 小西正光3 小澤秀樹4
所属機関: 1大阪府立成人病センター 2大阪府立公衆衛生研究所 3国立循環器病センター 4大分医科大学
ページ範囲:P.871 - P.875
文献概要
虚血性心疾患はその発生機序に血栓形成の関与が認められている.そして,血中の脂肪酸構成が血栓形成と深い関わりを持つことが,デンマーク白人とグリーンランド原住民を比較した疫学研究で示唆された1).わが国においても,農村および漁村で,血中の脂肪酸構成についての検討がなされつつある2〜4).
我々は,先に,従来から疫学調査を実施している漁家,農村,都市の計6集団で,摂取食品中の脂肪酸の摂取量および摂取割合と,単一の実験室で単一の方法で測定した血清中の脂肪酸構成を比較したecologic studyを実施した5).この結果,摂取食品中,血清中ともn-3系脂肪酸の割合の高い漁家で,高血圧,喫煙,高脂血症等の危険因子の保有割合が高いにもかかわらず,心筋梗塞の発生が比較的低率であることを認めた.このことは,n-3系脂肪酸が梗塞の発生を抑制するという仮説を支持する可能性のある成績と考えられた.そこで今回,我々は,ecologic studyの成績から最も虚血性心疾患の発生率が高い都市集団を選び,n-3系脂肪酸が心筋梗塞の発生を抑制するという仮説を検討するためのfollow up studyを行った.
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