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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生57巻2号

1993年02月発行

雑誌目次

特集 老人保健福祉計画策定のノウハウ

計画策定の意義—総合的な連携システムの確立

著者: 新井宏朋 ,   阿彦忠之

ページ範囲:P.84 - P.87

◆はじめに
 わが国では,21世紀の超高齢化社会に向けて平成元年に厚生,大蔵,自治の三大臣の了解事項として「高齢者保健福祉推進十カ年戦略(ゴールドプラン)」が策定されたのをはじめとして,厚生省からは「アクティブ80ヘルスプラン」や老人保健法の「保健事業第3次計画」等が公表されている.そして,これと対応して,全国の都道府県や市町村には「地域保健医療計画」や「老人保健福祉計画」の策定が義務づけられている.本誌にもすでに昨年(92年)11月号に中俣,郡司両氏による保健医療計画の基本問題についての論著1)や,中野氏の老人保健福祉計画の策定についての解説2)が掲載されている.
 本文では,これらの記事との重複を避け,筆者らの山形県における県レベル,2次医療圏レベル,市町村レベルでの医療計画,地域保健医療計画,老人保健福祉計画策定の経験から,市町村,保健所,福祉事務所での実際の保健と福祉計画策定の意義と問題点,ならびに今後の保健福祉活動への計画策定の“活かし方”について述べてみたい.

地域特性と計画策定

著者: 田上豊資

ページ範囲:P.88 - P.90

◆はじめに
 筆者は,高知県保健環境部健康対策課を本務に保健行政,医務課兼務で医療行政,福祉生活部の高齢者対策室兼務で福祉行政に従事し,併せて過疎の3町村を管轄する保健所の所長も兼務しながら,昨今の計画策定業務すべてに関与してきた.このような特異な立場から,本県の実例を通して,地域の実態に即した保健福祉計画を策定する上で考慮すべき諸課題について紹介してみたい.

ニーズ把握の意義と課題

著者: 川村佐和子

ページ範囲:P.91 - P.94

◆医療・保健の動向と当面する課題
 近年,老人保健法の制定と医療法の改正,健康保険制度の改正などにより,健康課題に対する解決方法に構造的な変化が始まっている.そこで,その変革によって生じてくる課題現在は潜在化している課題への対応が求められ,ニーズの再把握が重要となっている.
 平成4年7月に行われた厚生省健康政策局長古市圭治氏の講演1)要旨を読むと,現在の保健医療供給にどのような変革が求められているか,より具体的に理解できる.局長の考えでは「増大する医療需要に対応するため」従来の対応を次のように方向転換していくことが理解される.①医療資源を保健医療ニーズによって分化する.これは病院の機能分化という方法で開始されているが,すでに,病床増加を抑制しているので,分化のための病床の転化は,「現在の医療法で決められた医師,看護婦等の人員配置標準を長期的に常態的に満たしていない場合には病床使用制限をかけ,それらの病床を地域医療機関と行政が一緒になってどういう新しい施設に振り向けるかを考えることになろう」.有床診療所の位置づけは今後の検討課題である.②1病院完結主義から各施設が連携して,地域の保健医療福祉対策を考える時代にある.

サービス目標量の算定方法

著者: 山本和儀

ページ範囲:P.95 - P.100

◆はじめに
 今回このような特集が組まれたことは現在の保健・医療・福祉の動向に対して非常にタイムリーなことである.この老人保健福祉計画は今までにない全く斬新な発想に基づくものであるということはいうまでもなく,今後のわが国の保健・医療・福祉の方向性を示すものであり,かつこれらの各分野が有機的に結びつき,連携を密にしていくことの必要性を明らかにしたものともいえる.また,この計画は都道府県および市町村という自治体単位で,地域の特性に応じて計画が策定されるという地域性への配慮がなされるとともに,具体的なサービスの提供を行う市町村計画がその中心であるという市町村主義が明確にされ,法律上の計画として義務づけられた画期的なものであると考えられる.内容は将来必要とされる保健福祉サービス量を明らかにし,現在の状況を踏まえ,計画的に将来必要とされるサービス供給体制を整備していくというものである.これは各市町村の特徴や地域性をいかした計画づくりを行うということは論を待たないと思われるが,逆に今までにない各都道府県および市町村の独自性が表れると思われる.

将来人口の推計方法

著者: 大場保

ページ範囲:P.101 - P.106

◆はじめに
 人口問題研究所の「日本の将来推計人口注1)1)および「都道府県別将来推計人口」2)は,これまで政府や地方自治体の各種経済社会計画などの基礎資料として役立てられてきた.前者は日本の総人口が将来どのように推移するかを推計したものであり,後者は前者を基に都道府県間の出生・死亡の格差および人口移動の推計を加味して作成されている.
 将来推計人口には他にも国連による世界人口推計があり,また人口問題研究所のものとして世帯数の推計などがあるほか,都道府県などの自治体によって独自に行われているものもあるが,本稿では人口問題研究所において特に問い合わせの多い最初の2つについての推計方法を紹介するとともに,具体的な計算をする際の注意点に触れる.
 なお,将来推計人口は過去においても何度か推計されており,その都度推計方法がより高度なものとなってきている.ここでは最新版の推計方法について述べたい.

遠野市の実態調査と計画策定の取り組み

著者: 小原正巳

ページ範囲:P.107 - P.110

◆はじめに
 遠野市では,昭和60年から県立遠野病院をはじめ,市の医師会等の関係者のご協力により寝たきり老人訪問診療を実施し,これがきっかけとなって「保健」,「医療」,「福祉」の連携事業が行われて来た.この間,昭和63年には,国のモデル事業である「訪問看護等在宅ケア総合推進モデル事業」を実施し,これを機に,保健衛生課と福祉事務所の間に「老人在宅ケア推進室」を設置し,機構の上でも連携がスムーズに行われるようにした.
 遠野市での成功のカギは何といっても高齢者サービス調整チームの機能化にあり,1カ月2回定例化され,市内にあるサービス提供機関のサービス調整を一本化している.
 こういった事業が進むにつれて議会でも福祉に関する議論が多くなり,関心が高まっていることが感じられるようになった.
 市としても福祉に関する長期計画の必要性を検討して,市民の意識調査や要介護老人の実態調査を行った.その機が熟した頃とあいまって,国から「老人保健福祉計画」の考え方が示された.そこで遠野市としては平成3年度と4年度の2力年で取り組むことにした.

三鷹市における「老人保健・福祉計画」づくり—希望と安心にみちた健康・福祉のまちづくりをめざして

著者: 安田養次郎

ページ範囲:P.111 - P.113

 平成2年の福祉関係8法の改正により,「老人保健・福祉計画」の平成5年度中の策定が,すべての自治体に義務付けられた.すでに多くの自治体で取り組みが開始されており,東京都下においてもいくつかの市からは完成した計画書が送られてきている.
 三鷹市においても,1992(平成4)年1月から職員チームによる検討を開始し,11月24日に「計画素案」として取りまとめたものを市民会議の討論に付しているところである.

宮崎県門川町の地域保健福祉計画—やすらぎと生きがいのある福祉のまちづくり

著者: 金丸親治

ページ範囲:P.114 - P.116

◆はじめに
 現在わが国の人口構造は,平均寿命の伸長と出生率の低下により高齢化が急速に進んでおり,21世紀初頭には4人に1人が65歳以上という,超高齢化社会を迎えようとしている.門川町においても例外ではなく,加えて経済社会の変革により若年層の流出という要因が加わり,老年人口比率は平成元年には14%となり,県平均を0.3ポイント上回って高齢化が着実に進行している.この傾向は今後一段と進み,平成12年には20.7%程度に達するものと予想される.このような中を町では,これまで在宅福祉の拡充,社会福祉施設の整備,民間福祉活動の振興を中心として社会福祉の充実,整備を図ってきたが,さらに「やすらぎと生きがいのある福祉のまちづくり」を,町政の主要な柱の一つとして推進するため,新たな社会福祉の展開を図っていくことになった.このため,地域福祉の拠点づくりによる在宅福祉および施設福祉施策の充実強化に重点をおき,老人・身体障害者等を中心とする,町民の保健,医療福祉を総合した計画を策定すべく,住民意識・高齢者の生活実態および意識調査を実施した.

英国のコミュニティ・ケア計画とニーズ調査

著者: 中西範幸

ページ範囲:P.117 - P.123

◆はじめに
 英国におけるコミュニティ・ケアの将来構想は,1987年から1989年にかけて発表された政府白書『健康増進に向けて』,『国民の介護』,および『患者につくす』の中で提言され1,2,3),これに応えるものとして高齢者ケアの具体的な展開が1989年の一般医の契約の中で示された4).白書『国民の介護』の中では「地方自治体は医学,看護,および他の関係する団体との協同を図りながら利用可能な資源の中で個々のニーズの評価,ケア計画の立案,およびサービスの供給を保障する責任を有する」と述べられており,コミュニティ・ケアでの自治体の責任の強化が明確にされた.また一般医の契約では,一般医は75歳以上の全登録患者の毎年の診査を行う中で,神経・運動系機能,精神・身体状態,社会・家庭環境および受療状況の把握が求められ,1990年4月から実施されている.

講座 10代のこころを診る—思春期相談のために・2

中学生の不登校

著者: 梶山有二

ページ範囲:P.124 - P.127

1.はじめに
 中学生を精神発達理論からみると,思春期前期(P.Blos)1)にあたり,心身両面の急激な変化にともない,人格形成のための大切な発達課題を解決していかなければならない,いわゆる疾風怒濤にも例えられる時期の始まりでもある.昨今,不登校問題が,教育や心理,医学の領域を越え,大きな社会問題として取り沙汰されているが,その拡大傾向はとどまるところを知らない.1941年シカゴのJohnson2)が,「school phobia」を精神心理学的観点から報告したのを始まりに,本邦では,1960年鷲見3)が「学校恐怖症」の術語で報告し,以来今までに数多くの調査および研究報告がなされてきている.同時に文部省や教育委員会をはじめとして,各関連専門分野からも様々な不登校の子どもに対する理解の仕方から,精力的に対応,治療してきているにもかかわらず,年々着実に不登校件数が増加している事実はなんとも皮肉な現象といわざるを得ない.

トピックス

MRSA—その現状と地域とのかかわり

著者: 村田三紗子

ページ範囲:P.128 - P.131

 MRSAはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌Methicillin-resistant Staphylococcus aureusの略称である.MRSAは多くの抗菌薬に耐性をもつことから,手術後や重篤な基礎疾患のある抵抗力の弱い患者にひとたび感染症を発症させると治療が困難となり,不幸な転帰をとることもあって,社会的な関心を集めている.患者の治療を使命としている医療従事者にとって,MRSA院内感染予防は最も重要かつ困難な課題のひとつである.
 最近,MRSAを保菌したまま退院し,在宅医療や介護を受ける事例が増加しつつあるとの指摘がある.高齢者の増加に伴い在宅など地域での医療や介護の重要性が高まりつつある現在,地域におけるMRSAの伝播防止は新たな課題となった.MRSAはむやみに恐れる必要はないが,決してあなどることのできない厄介な相手である.MRSA対策には医療機関,地域保健医療,福祉施設など医療・介護にかかわるすべての人々の正しい理解に基づいた連携と協力が必要である.

報告

離島医療における臨床検査—沖縄県波照間島の調査から

著者: 小林廉毅 ,   上原鳴夫 ,   下杉彰男

ページ範囲:P.146 - P.149

1.はじめに
 昭和40〜50年代の全国医学部の整備により,医師総数は急速に充足しつつあるが,その地域格差は依然として残っている.わが国の僻地医療は,厚生省や地方自治体等の努力が一定の成果を上げたとはいえ,いまなお深刻な状況にあると言えよう1).今後も医療従事者の確保は積極的に取り組むべき課題であり,僻地従事者を支える諸システムの整備はさらに強化される必要がある2).我々は支援システムの一環である離島の臨床検査態勢について,平成3年5月に,沖縄県波照間島診療所と後方支援病院を調査する機会を得たので,その現状に考察を加えて報告する.

新しい保健活動の視点

「中野区保健推進計画」と保健所活動

著者: 永見宏行

ページ範囲:P.132 - P.136

●はじめに
 中野区は平成4('92)年3月に,平成13(2,001)年度までの10年を計画期間とする「中野区保健推進計画1)」を策定した.この計画の特徴は,①「地域健康づくりの支援」を重点施策に掲げて,小地域(平均人口2万人,中学校区に準ずる地域)で,区民と区(特に保健所)が協働して「総合保健活動」を推進することを打ち出したこと,②保健の主体をもって,保健・医療・福祉の連携を提案したこと,③「生活環境衛生」(食環境・営業施設環境・住環境・地域環境)の対物サービスを区民の健康づくりの基礎ととらえて施策化し,環境保全や消費者行政との連携も明らかにしたこと,④学識者のアドバイスを得ながら「職員の検討会」で原案をつくる等,区の職員が自分たちの頭と手足を使用して作成したこと,である.ここでは,その①,②を中心にした特徴とその背景を明らかにするなかで,今後の保健所活動のあり方を考察したい.

活動レポート

ネットワークづくり—「やどかりの里」における支え合いの活動

著者: 谷中輝雄

ページ範囲:P.137 - P.141

●はじめに
 本来,人は人と人との間の関係性の中で生きており,特に様々な危機に際しては,人と人との絆によって危機を乗りこえてきた.日常生活でも人と人との間におけるネットワークによって支え,支えられてきているのである.しかし,それらはあまりにも日常的であり,あたりまえであるために支え合いのネットワークはその大切さや必要性が感じられなかった.私は人と人との絆がどれほど必要で大切なものかを精神分裂病者とのかかわりの中で考えさせられた.やどかりの里の活動の中では発病,長期入院の中で,人と人とのロープが断ち切られ,あるいは自らロープを切るといったことで自閉的世界にいる人たちに対し,人と人とのネットワークの中で自閉よりの脱出を試みてきた.あらためてネットワークづくりの大切さを考えさせられている.そこで,ここでは「やどかりの里」におけるネットワークづくりについて述べることとする.

進展する地域医師会の公衆衛生活動 熊本市医師会の在宅ケアセンターの活動・1

医師会が在宅ケアに取り組む意義

著者: 鶴田克明

ページ範囲:P.142 - P.143

 熊本市医師会では1991年6月1日,熊本市医師会在宅ケアセンターを開設した.その目的は高齢化社会が現実のものとなった今,在宅医療,訪問看護,訪問介護を必要とする人たちに対して,各医療機関が在宅ケアを円滑に行えるように医師会主導によって支援するためであった.同センターでは1992年4月,制度化された老人訪問看護ステーションを7月に開設した.これは熊本県内では第1号で,地域医師会としては広島県福山市医師会等に次いで全国で3番目のものである.今回は,在宅ケアセンター開設に至るまでの経緯と訪問看護ステーションの現状を在宅ケアセンター所長の鶴田熊本市医師会副会長にお聞きした.

保健活動—心に残るこの1例

ワゴン車で暮らすSさん

著者: 高椋真弓

ページ範囲:P.144 - P.144

 「猛暑」,「台風」,「寒波」と聞くとSさんは大丈夫かと気になり訪問する.ワゴン車で暮らすSさんは「私は,神から選ばれて教祖になったのです.万物はすべて私の味方です」と笑いとばし,私の訪問を迎えてくれる.私は生活しているSさんの姿を見て,ほっと胸をなでおろす.
 精神分裂病のSさんは,55歳の男性である.23歳からの6年間と37歳からの16年間の計22年間の入院経験がある.Sさんは精神病院を離院し,生まれ故郷の廃船で生活しているところを発見された.兄と共に訪問し,Sさんと面接した.廃船の中には畳が1枚と,蚊取り線香が置いてあるだけだった.真っ黒く日焼けしたSさんは,かしこまって「今の生活に不自由はないが,早く家を探して移るつもりです」と話し,保健婦や兄の訪問は迷惑な様子だった.病気のことを話題にすると緊張した硬い表情に変わり,「兄と病院がぐるになり,私を陥れようとしている」など被害的な言動が出た.廃船での不自由な生活では健康が守れないと思うので,身体のことを心配していると伝えた.元主治医に連絡すると「病名は精神分裂病.病識はなく,関係妄想,被害妄想があり,入院中の療養態度は悪く,再入院は受け入れられない」とのことだった.

ある老人クラブの活動から学ぶ

著者: 谷口栄作

ページ範囲:P.145 - P.145

 私が島根県東南部の山間部を管轄しているU保健所にいた頃,A町と保健所がモデル地区に指定して保健活動を取り組んでいたA地区の老人クラブの活動を紹介したいと思う.その町は高齢県島根県を代表するような過疎化・高齢化が進んだ町である.私はある日健康相談に行き,A地区老人会副会長のYさんと出会った.今回はYさんを通じて知った1事例で学んだことを紹介したい.
 この老人会は10年ほど前から有志でゲートボールを始めた.その頃は老人会が個人の土地を好意で借り,そこで行っていた.しかし場所的に狭いことから,当時牧草地であった借地を借り上げて,そこを整地した.その予算は地区の自治委員に働きかけ4,000円/戸(全戸)を出しあい,そのうえに議員に頼んで町から助成と寄付金を受けた(合計約100万円).整地にあたっては業者と直接話して,16〜17人が手伝いをして出来あがった.そしてそこに寄付金により「老人憩いの家」を建てた.またその時チビッコ広場としての助成も受けるために,手作りで滑り台,ブランコ,ジャングルジムを作った.さらに“ふるさと創生1億円”基金からの助成を得るために町に対して手紙を出したり,地区の自治会を通じて要請したりしている.

発言あり

学校給食

著者: 赤穂保 ,   石井良和 ,   豊川裕之

ページ範囲:P.81 - P.83

「学校給食の見直し論議に思う」
 あっけない幕切れであったが,1992年は学校給食の見直しをめぐる議論がマスコミにも再三取り上げられ,学校給食を考えるには充実した(?)年であったように思われる.戦前戦後を通じて時代の変遷とともに,学校給食の担うべき役割は変化してきたが,ここにきて,その今日的意義を問う形で「学校給食廃止論」が自治体の側から提起された.話題の中心となった埼玉県庄和町の学校給食の見直しは,「現行の小・中学校給食については教育的意義,学校運営,家庭教育の面から問題点もあり,必要はないものと判断」し,「よって,学校給食から弁当持参へと移行すべき」と結論づけている.
 教育的役割については,学校給食法第2条の「学校給食の目的」に沿って考察を行い,それぞれ①基本的には家庭が責任をもって行うことが望ましく,多くを学校側に任せるものではない,②現状は教師との交流,友人との語らいなど,くつろぎの時間をとることは容易なことではなく,食事時間に限らず他の時間によっても十分可能,③同じメニューの食事を同じ量だけ,同じ時間内に食べさせることから多くの残菜がある,④各教科および特別活動などの教育課程を通して指導されなければ,十分にこの目標を達成させることはできない.学校給食に頼ることなく,家庭教育と合わせて指導が必要,などを理由に,弁当持参によっても十分教育目標が達成できるとしている.

保健行政スコープ

介護機器等研究開発について—障害者や高齢者の自立した生活のために

著者: 重藤和弘

ページ範囲:P.150 - P.151

1.はじめに
 わが国の人口構成の高齢化は急速に進行しており,2025年には65歳以上の高齢者は3,244万人,全人口に占める割合も25%を越える水準に達するものと予測されている.こうした高齢化社会の到来に伴い,老化に伴う身体的・精神的変化により介護を必要とする者が増加し,また現在介護を受けている高齢者や障害者がより密な介護を必要とするようになると考えられる.
 このように増大していく介護需要に対しては,介護に従事するマンパワーの確保を推進し介護体制を強化することが急務であるが,併せて機器を用いることにより高齢者や障害者が自立した生活を営めるように支援し,さらに介護従事者の負担の軽減を図ることが求められている.しかし,現在利用者のニーズに合った機器は少ない.こうした現状を踏まえ,厚生省では,機器の研究・開発・普及を推進し有用な機器を提供することにより,来るべき長寿社会を明るく,豊かなものとするよう努力しているところである.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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