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特集 結核対策の最近の動向
世界の結核の動向
著者: 青木正和1
所属機関: 1結核予防会結核研究所
ページ範囲:P.186 - P.190
文献購入ページに移動1991年のWorld Health Statisticsによれば,WHOに加盟している170カ国のうち,死因統計が掲載されている国は32カ国のみであり,その大部分は先進国である.死亡統計さえこの状況なので,公式統計からは世界の結核の状況は得られない.
結核罹患数,患者数の推計は,結核感染危険率から間接的に計算されている.この方法は,①BCG未接種の小児,若年者のツベルクリン反応検査の結果から,1年間に結核に感染する確率を推定し,その歴年推移を計算する,②感染危険率と塗抹陽性肺結核罹患率との間には直線的相関関係があり,感染危険率1%は塗抹陽性肺結核罹患率10万対49(39〜59)に相当する,という2段階の推定で行われている1).この方法は,(a)感染危険率の正確な推定自体が極めて難しく,(b)感染危険率と罹患率との関係は結核まん延の歴史的状況に応じて変わり2),(c)社会・経済的状況でも変わるので,必ずしも正確とは言い難いだろう.しかし,現在,これ以外の推定方法はないので,もっぱらこの方法による推定が用いられている.
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