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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生57巻4号

1993年04月発行

雑誌目次

特集 環境保全の地域政策

環境保全の基本理念と今後の動向—環境基本法の制定について

著者: 小島敏郎

ページ範囲:P.228 - P.231

◆はじめに
 昨年(平成4年)10月20日,「環境基本法制のあり方について」と題する答申が,中央公害対策審議会および自然環境保全審議会から環境庁長官に提出された.これは昨年6月の地球サミット開催を契機として,1昨年12月に諮問された「地球化時代の環境政策のあり方について」に答えたものである.答申には「環境政策の基本的な理念とこれに基づく基本的施策の枠組みを含む基本法」の制定が提案されており,これを受けた形で昨年10月23日には,閣議において,環境基本法案の策定についての口頭了解がなされた.これを受け,同法案をとりまとめるべく,環境庁を中心に,政府部内で策定作業が行われ,3月12日に閣議で了解され,国会に提出されたところである.
 本稿では,地球サミットから答申に至るまでの審議の経過と,答申の概要について説明しながら,環境基本法制定に向けての環境保全政策の基本理念と今後の動向について述べることとする.

省資源・省エネ型の生活の推進—リサイクル社会への消費者の対応

著者: 杉山太幹

ページ範囲:P.232 - P.235

 今,環境問題は世界的規模の緊急課題となっている.物質的な豊かさを求める人類の活動は,資源・エネルギーの大量消費を生じ,一方で,各種の廃棄物を大量に排出してきた.しかもそれらの廃棄物は自然の浄化能力を超え,オゾン層の破壊,地球の温暖化・砂漠化,酸性雨,海洋汚染など,地球の生態系に著しい影響を与えている.人類が初めて経験する課題であり,影響の大きさも不確実であり,解決の手段も確立されていないものが多い.
 このような現実を背景に「地球にやさしい」というキー・ワードが生まれ,企業は環境にやさしい製品への切り換えやイメージ・チェンジをはかり,消費者もまた大量消費のライフスタイルの転換を迫られている.

地球環境と企業経営のあり方

著者: 河野正男

ページ範囲:P.236 - P.239

◆はじめに
 1980年代後半以来,地球温暖化,オゾン層の破壊,酸性雨,熱帯林の減少,砂漠化,土壌浸蝕,海洋汚染等の広域にわたる環境資産の劣化ないしその破壊問題が注目されている.20年前にも環境問題が世間の耳目を集めていた.公害問題である.1960年代後半から1970年代前半にかけて,DDT,BHC,PCB,有機水銀,カドミウム,CO,窒素酸化物,硫黄酸化物,合成洗剤,農薬等に起因する人体,農作物,魚介類等に対する被害が連日新聞やテレビで報道された.そして,水俣病,新潟水俣病,富山イタイイタイ病および四日市ぜんそくに関わる訴訟,いわゆる4大公害裁判の判決が出されている.
 この時期は,日本経済が未曽有の高い成長をしていた.公害問題の原因が,高い経済成長に伴う大量の排出物や廃棄物にあるとの視点から,“くたばれGNP!”のキャンペーンが張られた.政府および企業は公害問題への緊急の対応を迫られた.
 政府は,公害対策を総合的,統一的に実施するために,1967年に,公害対策基本法を制定したのを皮切りに相次いで公害関連の法律を制定していった.そして,1971年に公害対策を主たる所管業務とする環境庁が設置された.

環境保全のための化学物質の安全性評価と管理

著者: 渡辺征夫 ,   田辺潔

ページ範囲:P.240 - P.243

◆はじめに
 昨年の12月21日,水道の水質基準が30年ぶりに大幅に改正され,今年の12月1日の施行日に対象が26項目から46項目に増加する1).このうち,27項目は化学物質についてのものであり,当面は汚染状況を把握するとされた監視項目の26種を加えると,53種の化学物質が管理の対象とされることになった.また,去る1月18日には,中央公害対策審議会は15種の化学物質を水質環境基準に,25種を監視項目に加えるように答申している.また,食品中の残留農薬基準,大気中や土壌中の化学物質の基準の見直し,改正作業も進んでいる.
 このような動きの背景には,各種の化学物質の利用の拡大,それに伴う環境中の濃度の増大,あるいは化学物質の健康への影響についての科学的知見の集積,それらを受けて,人々が水道水,食品,大気などの安全性の向上を強く求めるようになってきたこと—などがあると考えられる.本稿では,化学物質の安全性評価の方法,管理あるいは監視などについて,国,自治体などでの取り組みを中心に解説する.

環境保全のためのバイオ技術の応用

著者: 渡部良朋 ,   斉木博

ページ範囲:P.244 - P.248

◆はじめに
 人間活動が環境へ負荷を与える主因は,産業の生産活動と消費者による生産物の消費活動であるといえよう.言い方を変えれば経済活動である.現代の人間活動は,ともすれば経済的な側面に強い関心が集まりがちであり,経済活動の影響を受け変化していく自然環境に対して払われる関心は小さい傾向にある.環境が人間に与える有形無形のメリットを環境資源という言葉で表せば,環境資源への配慮は経済発展の影に隠れがちになるといえる.この経済的なインセンティブの小さい環境保全という課題に取り組むためには,経済性に優れた環境保全技術の開発,ならびに地域にマッチした実現方策を探ることが重要である.
 バイオ技術の多面的な応用は,環境保全に関する分野でも期待されている.その理由は,バイオ技術が応用されることで経済的に(コスト的に)適用しうる革新的な環境保全技術の開発が促進される可能性があるからである.また,環境保全技術は多岐にわたるため,環境保全施策をより実りあるものにするには,環境保全技術とそれを適用する主体(地域,産業)との関係を明確にすることも重要である.バイオ技術が応用される環境保全技術と,その技術の適用を図るべき主体との関係を図1に示した.

環境教育の現状とそのあり方

著者: 沼倉守

ページ範囲:P.249 - P.252

◆はじめに
 1992年5月,UNEP(国連環境計画)は国際連合人間環境会議開催20周年に当たって,「世界環境報告1972-92」を発表した.
 報告を発表したトルバ事務局長は,「この20年間にすべての環境分野で状況が悪化した.地球サミットは,単なる文書作りではなく,先進国と発展途上国が一致して環境保全の行動を起こすこと,(中略)現在ほど環境が脅威にさらされたことは地球上かつてない.生態系の破壊が進み,栄養不良が増加,貧富の差は拡大し,環境管理の失敗から子供たちが最大の犠牲者となっている」と述べている.
 1972年,ストックホルムで開催された国際連合人間環境会議は「人間環境宣言」を発表し,“Only One Earth”(かけがえのない地球),“宇宙船地球号”などの名句で,地球環境の保全と保護を呼びかけてから,世界各国の人々の,環境問題についての意識と関心は非常に高まってきた.しかし,それにもかかわらず,地球環境の悪化は加速的に進行し,危機的状況になっているのが実態である.環境問題は今日,先進国でも途上国でも,北半球でも南半球でも,地球上いたる所で起こっている問題であり,人類全体にとっての危機的問題である.

環境モニタリング・システム

著者: 堀悌二

ページ範囲:P.253 - P.256

◆はじめに
 日本における環境保全の歴史を振り返ると,昭和40〜50年代の前半には,激化した産業公害対策,貴重(希小)な自然の保護対策が主要なテーマであったが,昭和50年代後半〜60年代には,都市・生活型公害対策,トータルな環境の保全,快適環境・アメニティの創造,そして身近な自然の保全・創造へとその対象が幅広く変化してきた.さらに,最近では,環境問題を地球的規模でとらえて議論することが盛んに行われるようになった.
 このように,環境保全の問題は20〜30年前に比べるとその対象とする範囲が大きく変化してきたとはいえ,それぞれの事象を解析し,対策を立てる上で基礎となる最も大切な仕事は環境モニタリングである.
 以下,環境モニタリングの実情と今後の課題について,私見を述べさせていただく.

環境保全についての政策科学研究

著者: 小野寺伸夫

ページ範囲:P.257 - P.260

◆はじめに
 国際社会の重要な政治課題として環境問題が取り上げられるようになってきた.このことは極めて重要な政策発展の過程である.
 環境問題は公衆衛生従事者が学際的・国際的視点から本質的に取り組むべき政策課題である.しかしながら近年,しだいに公衆衛生学的アプローチがとりわけ,わが国において退嬰しはじめる兆しが認められる.これは本来,公衆衛生従事者の責任でもあるが,同時に環境問題が政策科学としての基本的踏まえもなく,あまりに多く政治の道具に利用されることにも起因する.
 環境保全には人類の謙虚にして創造性の高い英知の結集が求められる.その際,生命尊重の基本理念とヒューマン・エコロジーを基盤とした政策科学の体系化が公衆衛生学的アプローチの復権として期待されるであろう.

講座 10代のこころを診る—思春期相談のために・4

ひきこもり,無気力,モラトリアム

著者: 上林靖子

ページ範囲:P.261 - P.264

1.はじめに
 10代の臨床では,しばしば長い間自室に閉じ込もっている青年についての相談を家族や先生などから受けることがある.たいていは本人がみずから診察室や相談室に現れない.身体の病気でないことはもちろん,関係者からの情報を集めてみても精神分裂病やうつ病など狭義の精神病とも考えられず,われわれにとってもっとも難しいケースのひとつであるといえる.
 これらの青年の問題は「ひきこもり」,「無気力」,「モラトリアム」などとしてこれまでに論じられてきたものである.「ひきこもり」という用語は,もともと精神分析の防衛機制の一つを表すもので,意識することによって不安・不快・苦痛・罪悪感・恥などを体験する情動や欲動を無意識化し,精神内界の主観的意識的安定を保つという心理機制に注目した表現である.一般には現象として外界,とくに対人関係から身を引いている,つまり遮断していることを表している.無気力という用語はアパシーの訳として一般に用いられ,意欲の減退を意味するものであるが,ものごとに無感動,無関心であり,無為であるという状態像を表している.

トピックス

厚生省の「地域保健の総合的見直し」を考える

著者: 長岡常雄

ページ範囲:P.265 - P.269

●はじめに
 厚生省は地域保健の総合的な見直しを行うとして,公衆衛生審議会で「地域保健基本問題研究会」を平成5年1月に設置した.この研究会は平成5年春を目途に,地域保健の総合的な見直しについての検討結果をとりまとめ,公衆衛生審議会に報告する予定となっている.
 今回の見直しの理由として厚生省は「人口の高齢化,価値観の多様化,疾病構造の変化等に対応して,住民のニーズに対応したきめ細かな保健サービスを,地域の実情に応じて効果的に提供する観点から,地域保健関係の事業や実施体制について,必要な見直しを検討することとする」としており,見直しの基本的な考え方として表のような考え方を示している.
 またこれに先立って,平成4年12月に全国衛生部長会に厚生省の考え方を示し,これに対する衛生部長会の意見の取りまとめを要請している.この時示した厚生省の考え方は,「(1)保健所法は昭和22年の法制定以来大きな改正をしていないが,地域保健をめぐる環境が大きく変化している.このため公衆衛生審議会に有識者からなる「研究会」を設置し検討結果をまとめ,平成6年の通常国会において法改正を行いたい.

福岡市におけるエイズ電話相談

著者: 鈴宮寛子 ,   竹中章 ,   松本邦博

ページ範囲:P.270 - P.272

 福岡市におけるエイズ対策として昭和61年1月に,衛生局保健予防課にエイズ一般相談窓口(電話相談)が開設された,昭和61年5月には福岡市内7保健所に相談窓口(電話相談)が開設され,62年2月には,抗体検査が開始された.
 福岡市が行っているエイズ抗体検査は各保健所ともに週1回行っている.事前予約なしに検査が受けられ,プライバシー保護のため匿名で実施している.電話相談は常時受け付けており,医師,看護婦またはエイズ担当者が相談を受けている.

調査報告

保健所運動療法の方法とその意義

著者: 辻元宏 ,   山下義則 ,   山中千佳也 ,   繁田幸男 ,   柏木厚典 ,   田中逸 ,   朝比奈崇介 ,   阿部奈奈美 ,   池淵省祥 ,   高木敬文

ページ範囲:P.287 - P.291

 健康増進対策のため「栄養,運動,休養のバランス」のとれた地域住民の日常生活習慣の確立を目指した事業は保健所の重要な機能役割となっている1).これまで,保健所は地域住民の健康を管理し,促進する機関であるとして健康づくりを提唱してきた.しかし栄養,運動,休養のうちの運動に関しては,科学的方向性が明確化されていないので,成人病予防のため単に運動をしなさい式の方法をとりがちであった.運動処方については,厚生省の脈搏を年齢階層別の指標としたものが主であり,対象者年齢が40歳前後から始まることを考えると,身体的ハイリスク者も含まれている可能性もありうるので,運動療法自体,危険性を伴いがちである.この程度では保健所も民間フィットネスクラブと質的差はないし,設備面では逆にフィットネスクラブのほうが優っているともいえる.
 滋賀県の場合,平成7年に開所予定の健康長寿センター(老人の健康増進センター)の機能的役割に,老人軽度障害者に対しての運動療法が位置づけられたため,その医学的評価のたあのモデル事業が草津保健所を中心にして実施された.

新しい保健活動の視点

深谷保健所のウェルネス活動

著者: 西川由浩 ,   本間威

ページ範囲:P.273 - P.276

◇はじめに
 私たちは,保健所が地域の公衆衛生向上に果たしてきた役割は非常に大きいと確信している.しかし,時代の流れは保健所と地域との関わり方を変えてしまった.ある自治会へ出向いた時のことである.「保健所は人間のことをやってるんですか」という声を聞いた.また,当所が行ったアンケート結果では「保健所は何をやっているかわからない」という多くの声を聞いた.健康に関する知識や学習欲,生活基盤の安全対策など,地域の人々の健康意識に相当の高まりがみられる中,21世紀の高齢社会に向けた健康の維持増進をめざして鋭意努力しているつもりであったが,私たちの感覚と地域の人々の感覚の間にはかなりのギャップがあり,保健所の存在感は希薄化してしまったようである.
 深谷保健所は,渋沢栄一生誕の地である埼玉県深谷市に位置し,深谷市,岡部町の1市1町(管内人口約11万人)を所管する型別人口数別分類がR4型の保健所であるが,県北地域(6市15町6村)の広域的な食品監視と試験検査の業務を担う特定機能保健所でもある.

活動レポート

健康づくり活動から町づくりへ

著者: 門川次子

ページ範囲:P.277 - P.280

1.蘇陽町の概要
 蘇陽町は態本県の東端,阿蘇郡の最東南部に位置し,総面積118.92km2(東西8km,南北14km)にわたり起伏が著しく,標高500〜800mの間に耕地・原野・山林が展けている山間高冷地である.気象の変化が激しく寒暖の差が大きい.年間平均気温12.8℃,年間雨量2,000mm以上と多雨で,各種農産物が生産され,特産物として栗,推茸,茶,ブルーベリーなどの栽培が盛んである.人口は5,429人,65歳以上の老人人口率21.7%と,高齢者の多い町である.医療施設は病院1,診療所2,歯科診療所3となっている.

進展する地域医師会の公衆衛生活動 熊本市医師会の住宅ケアセンターの活動・3

老人訪問看護ステーションの現状

著者: 鶴田克明

ページ範囲:P.282 - P.283

■現在,訪問看護ステーションは在宅ケアセンターの一室に置かれていますが,今後の施設整備についての計画は?
 鶴田 施設としての設置基準があります.今,熊本市で健康増進センターの設立計画を進めていますので,それが完成した際には在宅ケアセンターはそこに移転したいと考えております.

保健活動—心に残るこの1例

多くの人に支えられる痴呆症のIさん夫婦

著者: 有野和枝

ページ範囲:P.284 - P.284

 小柄でおしゃべり好きで明るいが,エネルギーにあふれ,まわりを振り回す83歳の脳血管性痴呆症のIさんと,自分自身も狭心症を患いながら,いつもきちんと家事をこなし,Iさんを手厚く介護する88歳の夫が社会資源の有効活用により,在宅で安定した生活が維持できているので紹介したい.
 Iさんは早くに両親を亡くし,高等女学校を中退後大蓮に渡った.そこで救世軍に入隊していた夫と知り合い結婚する.終戦後,内地に引き揚げ,会社員となった夫は几帳面で堅苦しく,Iさんはいつもピリピリして暮らしていたようである.痴呆症状が現れたのは昭和60年頃からで,一時期寝たきりで失禁状態になったこともあったが,夫の献身的介護により歩行できるまでに回復してきた経過がある.

話すことの困難事例から学んだこと

著者: 山本博美

ページ範囲:P.285 - P.285

 脊髄小脳変性症のYさんとの出会いは,前任保健婦に引き続いての訪問で昭和62年の5月でした.入歯をはずしていて本人の言っていることがわからず,何度聞き直してもはっきりわからず,震える手で筆談してくれました.内容は介護者の夫が帰ってくるまで待っててほしいということでした.その一言を理解するまで何分かかったでしょうか.
 Yさんとの関わりは昭和59年から開始しています.家族は夫と娘夫婦と孫2人で,夫が介護していましたが,私が初めて訪問した時は,徐々に日常生活動作が悪くなってきていた時期でした.夫が帰って来て,今までの経緯について夫なりに状況を話してくれました.しかし,Yさんの話を聞きたいと思い,次の訪問で五十音表を持っていきましたが,うまくいきませんでした.いつも夫のほうが話して,本人がどう思っているのかわかりませんでした.訪問のたびに,夫が自分の介護について話してきて,私が聞き役になっていたように思います.夫の介護についてはポータブルトイレの設置の場所を本人の状況からすると変えた方が良かったり,食事の内容についてプラスしてほしかったり,いろいろ保健婦の思いはありましたが,夫の介護力も考えて少しずつ伝えようと考えていました.

発言あり

英才教育

著者: 華表薫 ,   黒岩秩子 ,   冨倉光雄

ページ範囲:P.225 - P.227

「わが家は雑草教育」
 数日前,皇太子妃内定のニュースが流れ,小和田雅子さんの経歴が紹介されました.雅子さんは伝統ある小・中・高一貫教育の私立名門校御出身で,福岡にも姉妹校があり,今年はお妃内定直後から人気が急上昇したと聞いています.雅子さんのキャリアレディとしての知的な美貌に魅せられた女性たちの間で,知性ブーム到来とかいわれているそうです.雅子さんの偉大さは,英才教育を受けられたことに起因しているとはいえず,持って生まれた優れた資質と,恵まれた環境によるものだと思います.子供たちには,ブームに乗った人真似教育を与えるのではなく,各人の良さを伸ばしていくよう導きたいものです.親の意志だけで,子供の好まない方向に子供を引っ張っても決して良い結果を生むとは思いません.雑草教育の過程で,子供たちの個性や能力が磨かれ,それが自信につながる時,子供たちは将来の方向を独力で見いだし開拓していくでしょう.子供が4,5人もいれば,家庭の中で一つの社会が生まれます.各自が兄弟間で,何かを学びとって,自分を造っていきます.自立心が早くから芽生え,他人に頼れないという責任感が身につく利点もあると思います.

わが町の保健・福祉施設

大分県挾間町保健センター

著者: 池邊宜史

ページ範囲:P.293 - P.293

 挾間町は人口13,300人,まだまだみどり豊かな町であるが,大分市と別府市に隣接し,大分市の中心部まで車で約25分,別府市まで30分という条件から,県内の町村で唯一人口が増加している町である.
 なんといっても人生の幸せは健康であることから,毎年盛大に健康づくり町民大会を実施し,ふれあいと健康の大切さをアピール,町民1人ひとりが健康で心も豊かな町づくりを目指している.町民の保健衛生の向上と保健活動の場として,昭和59年8月に挟間町保健センターが竣工,年々利用者が多くなっている.

保健行政スコープ

第4次循環器疾患基礎調査の概要について

著者: 梅田勝

ページ範囲:P.294 - P.295

1.はじめに
 わが国における脳卒中,心臓病等成人の循環器疾患に関してその現状を把握し,今後の予防対策の検討に資するために,昭和36年以来10年ごとに循環器疾患基礎調査が行われている.平成2年11月に第4次の循環器疾患基礎調査が行われ,このほどその概要がまとめられたので報告する.
 本調査は全国の世帯および世帯員を対象とし,平成2年11月1日現在30歳以上の約12,000人を調査の客体としたものである.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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