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特集 国際化と産業保健
産業保健における国際協力—その視点と現状
著者: 久永直見1 牧野茂徳2 城内博3 吉田勉4
所属機関: 1名古屋大学医学部衛生学教室 2中央労働災害防止協会労働衛生検査センター 3産業医学総合研究所 4藤田保健衛生大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.300 - P.303
文献購入ページに移動アジアの多くの国で,工業化の進展に伴い労働災害,職業病が多発しており,産業保健面での国際協力に期待が高まっている.アジア諸国と日本との歴史的な関係の深さと,それらの国に日本企業の設立した現地法人数が5,126社,雇用労働者数が112万人に上る現状1)を考えれば,アジア諸国での産業保健活動への協力は日本の責務でもある.他方,近年のアジア諸国から日本への労働力流入の急増は,合法的ならびに不法に就労する外国人労働者の産業保健という国際的な課題を生んでいる.こうした状況のもと,日本の産業保健の研究と実践の流れを広げ,国際協力の見地からの取り組みを強めることが一層重要になってきた.
筆者らは,1989〜93年の間に国際協力事業団からフィリピン労働安全衛生センター(POSHC)に派遣されて健康管理部のスタッフの養成に携わるとともに,日本におけるPOSHC職員の研修に協力した.フィリピンでの協力経験は他の国との協力にも通じる有用な点があると考え,本稿では,この経験を中心に,日本とアジア諸国との産業保健分野での国際協力の現状と今後の発展を考える視点につき述べる.
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