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特集 歯科保健医療の動向
歯科医療と保険制度
著者: 林治幸1
所属機関: 1林歯科医院
ページ範囲:P.701 - P.704
文献購入ページに移動1.予防可能な2大疾患
歯科疾患といえばう蝕(むし歯)と歯周病(歯槽膿漏)という2大疾患がほとんどである.もちろん,顎関節症や口腔癌などの歯科疾患もあろうが,歯科治療のほとんどがこの2大疾患の治療で占められている.
ところで,この2大疾患は偶然に発症するというよりは生活習慣によるところが大きい,つまり食生活(ことに甘い物の取り方)や適切なブラッシングの習慣化ということが,直接発症に結びついている.戦後の貧しい時代に小学校でよい歯のコンクールを行えば,必ずといってよいほど貧困家庭の児童が選ばれた.おやつに甘い物を買ってもらえないかわりにむし歯にならなくてすんだわけである.その後経済が発展し豊かになると,どこの家庭でも甘い物が十分買える時代になり,昭和30年代後半から50年代前半まで,乳歯う蝕の洪水ともいえる時代が続いた.どこの歯科医院でも順番待ちの光景がみられ,中には小児歯科専門という歯科医院が誕生した.しかしその後は親の意識も高まり,乳歯う蝕の洪水の時代は鎮静化した.つまり,う蝕は甘い物の取り方に注意すればそれだけでも十分予防効果があるわけである.
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