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特集 老人保健福祉計画の推進
英国における新しい公衆衛生と地域ケアへの期待
著者: 藤原仁史2
所属機関: 1西ケント保健局 2大阪大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.111 - P.115
文献購入ページに移動近年英国では,医療,地域ケア,および公衆衛生サービスの運営と供給について多くの面で抜本的な改革がなされてきた.この論文では,これらの推移について検討したい.
英国の国民保健サービス(NHS)は1948年に誕生し,多少の見直しと手続上の変更とを除いては,1980年代中ごろまでその本質は変わらないまま継続されてきた.その基本原則は,包括的なサービスの提供であったが,現在でもその原則は同じである.そのサービスはプライマリ・ケアと病院医療を含んでおり,個人の支払能力にかかわらず,利用に際し費用はほぼ無料であり,その財源は主として一般の税金によって賄われている.同時にこれまでも付加的に私費診療が実施されており,少数だが,次第に増大しつつある一部の人々によって利用されてきた.また,英国では包括的保健サービスを提供するために,実績として国民総生産(GNP)の6〜7%を支出しており,その額は他のほとんどの先進諸国よりも明らかに低額である.
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