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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生58巻2号

1994年02月発行

文献概要

保健活動—心に残るこの1例

エイズ相談に来所したNさん夫妻

著者: 吉永陽子1

所属機関: 1川崎市宮前保健所

ページ範囲:P.138 - P.138

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 あたりをうかがうように相談室に入ってきたNさんは,きちっとネクタイをしめていかにもまじめそうな印象を受けた.最初の説明(検査のシステム,秘密が守られること等)を遮るように彼は言った.「たった1回だけなんです.」話は次のような概要だった.10年前,転勤先で婚外交渉を持った.忘れていたのだが,今年になって風邪が治らない.マスコミから得た情報によると自分の今の症状がよく似ているし,潜伏期間が長いと聞いたが発病するとすればちょうどあてはまる.自分はエイズに違いない.ろくろく仕事にも手がつかずミスばかりしてしまう,検査に行くと決めてからはいよいよ不安が募り,ここ2,3日は会社を休んでいる.眠れなくて消耗しきっている彼に,私は精神科の受診を勧めた.
 「主人の結果を見せて下さい.」

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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