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特集 骨粗鬆症の予防戦略
骨粗鬆症—生活の中での予防戦略
著者: 黒田研二1 鈴木雅丈2 高山佳洋3 多田羅浩三1
所属機関: 1大阪大学医学部公衆衛生学教室 2大阪府枚方保健所 3大阪府門真保健所
ページ範囲:P.406 - P.409
文献購入ページに移動近年,骨粗鬆症の予防と治療に注目が集まるようになった背景には,いくつかの要因が考えられる.第1に,診断と治療方法の発展がある.種々の骨密度測定装置が開発されるとともに診断基準が検討され,ホルモン補充療法やその他の治療薬の開発も進みつつある.第2は,高齢人口の急速な増加である.かつては,老化という一般過程の中で見過ごされてきたものが,診断基準が作られ有病率などの疫学知見が集積されるにつれて,わが国の骨粗鬆症の有病者数は1000万人に達すると見積もられるようになった1).今後の高齢人口の増加を考慮すると,骨粗鬆症の予防は急務である.第3に寝たきり予防の戦略の中での重要性があげられる.脳卒中の年齢調整死亡率はこの30年間に3分の1に低下した.一方,骨粗鬆症や大腿骨頸部骨折に起因する死亡率は詳しいデータはないが,低下しているという証拠はない.寝たきり状態を作り出す疾患のうち予防可能な疾患として骨粗鬆症が新たに注目されている.
人口の高齢化が進みつつある欧米諸国でも事情は同様で,骨粗鬆症の予防の方法についての議論もさかんになっている.
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