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特集 母子保健と福祉
母子保健における保健・医療・福祉の連携システム
著者: 飯島久美子1 日暮眞1
所属機関: 1東京大学医学部健康科学看護学科母子保健学教室
ページ範囲:P.460 - P.464
文献購入ページに移動近年におけるわが国の母子保健事業は世界的にみても高い水準にある.しかし,今日の母子保健活動の大きな問題である障害児の早期発見・早期療育をみると,必ずしも満足のいくものではないといえる.確かに早期発見という面では,例えば一部の先天性代謝異常などにみられるように,発見技術,およびその後の治療,あるいは障害を軽減するための技術が,主として医療面ではあるが開発され,進歩してきたために,その体制は各地域ですすんできている.
ところで,療育という言葉を初めて提唱したのは高木憲次であるが,その概念は「療育とは,医療,訓練,教育など現代の科学を総動員して障害を克服し,その児がもつ発達能力をできるだけ育て上げ,自立に向かって育成することである」と高松は述べている1).すなわち,なんらかの障害をもつ子どもに対して,必要な医療,訓練,保育・教育,さらには社会的,経済的な援助を提供することと考えられる.高木が当初「療育」を用いた頃に比較すると,障害の内容も変化し,また社会意識も変化してきてはいるが,こうした変化に対し保健,医療,教育,福祉が有機的なつながりをもって十分に機能しているとはいい難い.
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