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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生58巻7号

1994年07月発行

文献概要

疾病対策の構造 生活環境を支えるシステム—水道・2

安全でおいしい水のために

著者: 小林康彦1

所属機関: 1(財)水道管路技術センター

ページ範囲:P.510 - P.514

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1.水系伝染病からの解放
 水道の機能は,原水の取得,水質の変換(浄水),輸送に区分できる.水系伝染病に対して砂濾過の有効性が確認され,さらに塩素消毒で細菌類からの脅威は取り除かれ,人によりカルキ臭いといわれる塩素の臭いを気にすることはあっても「塩素のにおいは安全のしるし」と消毒の効用を説いてきた.1950年代から1970年頃まで,水道に起因する集団赤痢等の発生が相当数みられ,原因はいくつかの不備が重なったケースが多かったが,必ず塩素滅菌機が動いていなかったといってよいであろう.現在,水道による水系伝染病の発生がほとんど見られなくなったのは,塩素消毒が徹底したためと考えられる.
 水道の普及と便所の改善により,水系伝染病の発生をどの程度抑えることができるかをWHOの報告は数値化している(表).特にコレラ,チフスなどには著しい効果があり,安全で十分な水の供給と適切な公衆衛生は,乳幼児の死亡率を50%以上減らすことができるし,また,すべての下痢患者の4分の1は防ぐことができるとしている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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