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特集 公衆衛生活動の国際的な展開
ポリオ根絶計画のアジアにおける進捗
著者: 千葉靖男1 黒岩宙司1 帖佐徹12 遠田耕平34
所属機関: 1国立国際医療センター国際医療協力局 2現ラオスJICA公衆衛生プロジェクト 3秋田大学医学部法医学教室 4現ベトナムホーチミン市パスツール研究所
ページ範囲:P.540 - P.543
文献購入ページに移動EPI(拡大予防接種計画)の発展により,世界的に小児麻痺(以下ポリオと略す)の発生は著しく減少したが,開発途上国を中心として未だ年1万人前後の報告がある.
ポリオはワクチンにより完全に防御できる疾患であり,WHOおよび世界の各国は西暦2000年までにポリオを地球上から根絶する活動を進めている.また,すでにPAHO(汎アメリカ保健機構)は,1991年のペルーの症例を最後として,土着の野性株ポリオウイルス伝播の遮断に成功した1,2).
アジアのうち,わが国に最も関係の深い西太平洋地域(WPR)の主なポリオ流行国は中国,ベトナム,ラオス,カンボジア,フィリピンの5カ国であり,日本はこれらの国のポリオ根絶活動に対して直接的に,あるいはWHOなど国際機関を介して,いろいろな面で支援を行ってきた.また,筆者らはこれらの一環として行われている中国ポリオ対策プ口ジェクト(JICA)や,ベトナムメコンデルタおよびラオスでのポリオサーベイランスに従事してきた.以下にこれらで得られた知見に基づきWPR地域におけるポリオ流行の状況を概説し,加えてポリオ根絶活動の進捗と課題,特にサーベイランスに関係した事柄について述べる.
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