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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生58巻9号

1994年09月発行

文献概要

特集 現在からみる公害

農薬汚染の広がり

著者: 木根渕英雄1

所属機関: 1高知医科大学衛生学教室

ページ範囲:P.622 - P.625

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 昭和62年(1987)から平成3年(1991)までのわが国の死因統計で,自殺は変わることなく通して第7位だった.その手段で圧倒的に多いのが縊首,首つりであり,56〜57%を占めている.第2位は高所からの飛び降りで,10〜11%を占める.3位・4位・5位は,僅差で年ごとに入れ変わる.すなわち農薬,入水溺死,ガス(昔は都市ガスだったが,近年は車の排気ガスが多い)の三つの手段が,それぞれ5〜7%の範囲で増えたり減ったりして順位が変わっている.いずれも自殺と聞いた時に連想する方法だが,農薬が服毒自殺の中で最も多い毒物になっている.厚生省統計情報部が毎年公刊する「人口動態統計」からの資料を表1に示した.
 表2も同じ資料に由来する.散布など農薬取扱い中の事故死者数だが,農薬自殺者の15%程度である.しかし問題は事故の発生場所の過半数が「家庭内」となっており,田畑やビニールハウスではないことである.農薬は身近にある致死的な毒物という認識がうすく,あまりにも安易に扱われ過ぎているのではなかろうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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