文献詳細
文献概要
特集 現在からみる公害
チェルノブイル事故と放射能汚染
著者: 青木芳朗1
所属機関: 1東京大学医学部放射線健康管理学教室
ページ範囲:P.626 - P.630
文献購入ページに移動◆はじめに
チェルノブイル原子力発電所4号炉の事故は,原子力平和利用の歴史の中で最大かつ最も不幸な出来事であった.事故の際に放出された放射能による環境汚染,人体への影響等につき,多数の学問的報告あるいはマスコミの報道がなされている.わが国への直接的な影響は極めて少なかったにもかかわらず,過度の報道等により,いろいろな憶測がなされてきたが,どれが真実で,どれが真実でないかという判断に苦しむ場合が多かった.
実際にチェルノブイルを訪問して,現地で現在でも働いている研究者たちと話し合ってみると,彼らは思いの外冷静であることが分かる.しかし,信頼できる情報が与えられていなかった汚染,非汚染地域の住民の中には,不安やいらだちが多く認められたことも事実である.
本稿では,できるだけ客観的なデータのみを用いて,チェルノブイル原子力発電所事故による環境への影響と,人体への早期あるいは晩期の影響について概説した.
チェルノブイル原子力発電所4号炉の事故は,原子力平和利用の歴史の中で最大かつ最も不幸な出来事であった.事故の際に放出された放射能による環境汚染,人体への影響等につき,多数の学問的報告あるいはマスコミの報道がなされている.わが国への直接的な影響は極めて少なかったにもかかわらず,過度の報道等により,いろいろな憶測がなされてきたが,どれが真実で,どれが真実でないかという判断に苦しむ場合が多かった.
実際にチェルノブイルを訪問して,現地で現在でも働いている研究者たちと話し合ってみると,彼らは思いの外冷静であることが分かる.しかし,信頼できる情報が与えられていなかった汚染,非汚染地域の住民の中には,不安やいらだちが多く認められたことも事実である.
本稿では,できるだけ客観的なデータのみを用いて,チェルノブイル原子力発電所事故による環境への影響と,人体への早期あるいは晩期の影響について概説した.
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