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特集 現在からみる公害
地域における公害への対応
著者: 寺本辰之1
所属機関: 1愛媛県新居浜保健所
ページ範囲:P.631 - P.633
文献購入ページに移動昭和30年代から40年代にかけて,経済が目覚ましい発展を遂げるとともに,それまで見棄てられていた,その影の部分ともいうべき公害問題が各地で頻発した.その主要なものは四大公害病裁判として知られる熊本および新潟の水俣病,イタイイタイ病,四日市喘息であるが,これら以外にも多数の公害事例が発生した.公害患者の悲痛な訴えと,それに呼応する世論の高揚が昭和45年の公害国会における,公害関係14法案成立の大きな原動力となった.
公害関係法の整備とともに,複数の省庁がもっている公害行政の一元化が期待されるようになり,昭和46年環境庁発足へと至った.環境庁の実質的初代長官大石武一は医師であるとともに,自然保護への並々ならぬ情熱を抱く適材であった.しかし,彼の環境保護行政への取組み方が,その後の環境庁のあり方を決定するには,長官在任1年間はあまりにも短すぎたといえるだろう.
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