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文献概要
疾病対策の構造
特定病因説の科学史(1)
著者: 長野敬1
所属機関: 1自治医科大学生物学
ページ範囲:P.650 - P.652
文献購入ページに移動特定病因説というのは,医学に詳しい科学ジャーナリストであるディクソン(Bernard Dixon, 1938)が『近代医学の壁—魔弾の効用を超えて(Beyond the Magic Bullet, 1978)』のなかで,現代医学の一つの傾向を批判的に論じた際のキーワードである.ある疾病にはそれぞれ特定の原因があるというごく単純な「真理」のことをいう.20世紀が進むにつれてなぜ真理だけでは間に合わなくなってきたのか,あえて言えば真理はなぜ破綻をきたしたのか.ディクソンは,手ごろな一冊のうちに,明快に説いて余すところがない.
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