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特集 公衆衛生の新たな地平
公衆衛生の歴史と基本理念
著者: 高野陽1
所属機関: 1国立公衆衛生院
ページ範囲:P.4 - P.6
文献購入ページに移動某生命保険会社に勤務している幼馴じみの重役昇進祝いの席上,筆者の仕事のことに話が及んだ.彼は,その時,公衆衛生とは何かはっきりわからなかったが,医学のなかで最も基本で,最も大切な分野だということがわかったとつくづく語った.筆者を,これまでも,患者を診ない医師であることは知っていたが,これで人の健康に関して重要な役割を果たしていることを再認識したようであった.そして,彼は「なぜ,医者はもっと公衆衛生を勉強しないか?」と質問した.生命保険会社勤務であるからには,人の寿命や健康について全く関心がないわけではなく,一般の人のなかでは公衆衛生に近いところにいるはずであり,医師との接触も少なくない.そのような人物の口から出た言葉の意味を,われわれは十分に噛み締めてみる必要があると思う.
具体的な方法としては多少信仰的なこともあるにしても,今日ほど,多くの人々にとって,健康に関心を深めている時代はないのではなかろうか.このような時代だからこそ,これからの公衆衛生の新しい方向性を模索してみることの意義は大きいものと考える.
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