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特集 公衆衛生/予防医学と分子生物学
循環器疾患予防へのアプローチ—高血圧の分子疫学
著者: 羽田明1
所属機関: 1北海道大学医学部公衆衛生学
ページ範囲:P.837 - P.839
文献購入ページに移動本態性高血圧は原因不明の高血圧の総称であるが,これまでの研究により,塩分過剰摂取,肥満,飲酒,ストレスなどが,発症にかかわっていることはよく知られている.一方,遺伝疫学的研究から遺伝要因の関与も明らかであり,血圧決定に関与する割合は20-40%と推定されている1).しかし,単純なメンデル遺伝形式はとらず,ほかの成人病と同様,いわゆる多因子病に分類される.高血圧を発症しやすい遺伝素因保有者が,長年にわたる環境要因への暴露により発症すると考えられるため,原因遺伝子を同定することにより,遺伝素因保有者に対する個別的な予防医学が展開できる可能性がある.また,発症者の治療においても,遺伝的な原因によって最も有効な治療を選択できるかも知れない.本稿では,本態性高血圧の原因遺伝子同定に向けた研究の現状を概説する.
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