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特集 労働によるストレスと健康
労働によるストレスと健康
著者: 荒記俊一1 川上憲人2
所属機関: 1東京大学医学部公衆衛生学教室 2岐阜大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.84 - P.88
文献購入ページに移動国際労働機関の報告書1)も指摘するように,労働によるストレスは今世紀最も重要な職場における健康障害因子のひとつである.特に近年,心血管障害などのように,職場環境や作業内容によってその発症や予後が影響を受ける「作業関連疾患」への対策として,労働によるストレスに対する研究および対策活動が重要な位置づけを持つようになってきた2).
1982年の全国調査では,わが国の勤労者のうち仕事,職場生活に関することでの強い不安,悩み,ストレスを持つ者は51%であった3).1992年には57%と増加4)し,労働によるストレスが増加していることがうかがえる.米国では労働によるストレスのための医療費増加や生産性の低下などの損失は年間3,000億ドル以上と推定されている5).また欧米同様,わが国においても近年,労働によるストレスと関連した精神障害および循環器疾患による労働災害申請が注目を集めている.
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